
マックス・プランク太陽系研究所(MPS)のNatalie Krivova氏やValeriy Vasilyev氏をはじめとする研究チームは、観測史上最大とされる太陽の黒点群(黒点の集まり)がどれほど強力な太陽フレアを起こせたのか、その可能性を検証した研究成果を発表しました。Krivova氏とVasilyev氏がそれぞれ筆頭著者を務めた2篇の論文は、学術誌「Philosophical Transactions of the Royal Society A」に掲載されています。

太陽に現れた1947年4月の巨大黒点
近代的な観測が始まって以来、太陽面に現れた黒点の中でもひときわ大きかったのは、1947年4月に観測された黒点群です。研究チームによると、太陽の可視面積の約0.6%を占めたこの黒点群は、1859年に発生した観測史上最大級の太陽フレア「キャリントン・イベント」以降に記録されたものでは最大とされています。
この黒点群から実際に巨大な太陽フレアが発生したという記録はありませんが、今回の研究ではこの黒点群が理論上どれほどのエネルギーを解放できたのか、別の言い方をすればどれほど強力な太陽フレアを起こせたのかを、統計的な手法で推定しました。
過去の太陽フレアから上限を推定
研究チームはNASA(アメリカ航空宇宙局)の太陽観測衛星「SDO(ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー)」が2010年から2016年にかけて捉えた300件以上の大規模な太陽フレアを解析し、黒点を含む磁場の強い領域(活動領域)の面積と太陽フレアのエネルギーの間にある関係を統計的に求めました。
この関係を観測史上最大級の黒点群にあてはめたところ、1947年の黒点群は最大で10の34乗エルグを上回るエネルギーの太陽フレアを起こせた可能性があると推定されました。
この値は、一般的な太陽フレアと比べて桁違いに大きなエネルギーが放出される「スーパーフレア」に匹敵します。スーパーフレアは太陽では宇宙からの観測が始まった1960年代以降一度も確認されておらず、今のところ別の恒星でのみ観測されている現象です。

Vasilyev氏らが2024年に発表した研究では、自転周期や表面温度が太陽に近い恒星について、平均して100年に1回程度はエネルギーが10の34乗エルグ以上のスーパーフレアが発生していると推定されています。1947年の黒点群では、この基準値を超える太陽フレアが発生し得たというのです。
なお、キャリントン・イベントを引き起こした黒点群については、10の33乗エルグ程度の太陽フレアを引き起こせたと推定されています。この値は、過去の研究で推定されたキャリントン・フレアの規模(X45~X146に相当)に一致すると研究チームは述べています。
Krivova氏は「太陽はスーパーフレアを引き起こす可能性を持っています。理論的には非常に巨大な黒点を作り出すことができ、それが最も極端なエネルギー放射の出発点になり得るからです」と述べています。
太陽が秘めている力を見極めることは、太陽物理学に残された大きな謎を解く鍵になるだけでなく、太陽フレアから重大な影響を受ける可能性がある人類の文明を守ることにもつながっていくはずです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- Max-Planck-Gesellschaft - Sun: New Evidence of Superflares
- Krivova et al. - Empirical flare energy limits for the largest historical sunspots (Philosophical Transactions of the Royal Society A)
- Vasilyev et al. - Linking solar magnetism, extreme solar particle events and stellar superflares (Philosophical Transactions of the Royal Society A)























