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誕生直後の太陽がスーパーアースを飲み込んでいた? 太陽めぐる謎の一部を説明できる可能性

エーゲ大学のMutlu Yildiz教授は、もしも誕生直後の太陽が地球よりも大きな岩石惑星、いわゆるスーパーアースを飲み込んでいたとすれば、太陽をめぐる謎の一部を説明できる可能性があることを示した研究成果を発表しました。

太陽の内部には、かつて飲み込まれた惑星の痕跡が現在も残っているかもしれないといいます。Yildiz教授の成果をまとめた論文は学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に掲載されています。

恒星に落下した惑星とその軌道を描いた図(Credit: NASA, ESA, CSA, R. Crawford (STScI))
【▲ 恒星に落下した惑星とその軌道を描いた図(Credit: NASA, ESA, CSA, R. Crawford (STScI))】

太陽をめぐる「内部の音速」と「リチウム」の謎

今回の研究の出発点は、太陽の内部構造や化学組成をめぐる長年の謎にありました。

太陽の内部を直接観測することはできませんが、太陽の表面に現れる振動を解析する「日震学」という手法を用いることで、その様子を探ることができます。太陽の対流層(熱が対流で運ばれる外層部分)の深さや太陽内部における音速も日震学を通じて明らかになっているのですが、太陽の標準的なモデルで計算した音速と、対流層のすぐ下における音速の観測値との間には、系統的にわずかなズレが現れることが知られていました。

また、太陽の表面における水素に対するリチウムの存在比は、太陽系が形成された頃の推定値と比べて2桁以上も少ないことが知られています。リチウムが少ない原因は完全に解明されていません。Yildiz教授は、この「音速のズレ」と「リチウムの少なさ」という太陽の2つの謎について、誕生直後の太陽を取り巻く原始惑星系円盤(原始太陽系円盤)との間で物質がやりとりされる過程に共通する原因があるのではないかと考えたのです。

具体的には、円盤の内部で形成されたスーパーアース(地球よりも大きな岩石惑星)が太陽に飲み込まれた可能性をYildiz教授は検討しました。太陽系にスーパーアースは存在しませんが、2016年に発表された研究では水星よりも内側で形成されたスーパーアースが太陽に落下した可能性が示されており、今回の研究ではその証拠が残されているかどうかを検証した形です。

主星の近くを公転するスーパーアースの想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)
【▲ 主星の近くを公転するスーパーアースの想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

地球の5~10倍の質量を持つ岩石惑星が飲み込まれていた可能性

Yildiz教授は、誕生直後の太陽に取り込まれた重元素(水素やヘリウムよりも重い元素)の量を変化させた複数のモデルを構築して分析を行いました。すると、対流層のすぐ下に集中するようにして重元素が沈み込んだと仮定したモデルを用いると、対流層の深さと前述した音速のズレを同時に再現できることがわかりました。

また、太陽が形成された当初のリチウムの量をわずかに低く見積もりつつ、取り込まれた重元素からリチウムを除外したところ、太陽の表面におけるリチウムの少なさも説明できることもわかったといいます。

さらに、このモデルで推定される重元素の量から逆算したところ、質量が地球の5~10倍程度のスーパーアースに相当する天体が、太陽に飲み込まれた可能性が示されました。Yildiz教授は「惑星を飲み込む出来事が太陽の構造に影響する可能性は考えていたものの、ここまで限定されたスーパーアースの質量に計算結果が収束するとは予想していませんでした」と述べています。

今後の課題は、誕生直後の太陽に飲み込まれた惑星の痕跡を独立して検出できるかどうかです。Yildiz教授は、確定的に証明するのは難しいかもしれないと前置きした上で、「予測された構造的・化学的な特徴が独立した観測で確認できれば、数十億年前にこうした出来事が起きた強力な証拠になります」と期待を寄せています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典