アメリカの民間企業SpaceX(スペースX)が開発を進めている「Starship(スターシップ)」は、全段の再使用を前提とした2段式の大型ロケット。100トン以上のペイロードを打ち上げることができるだけでなく、地球を周回しながら推進剤を再補給することで月や火星にも行くことができるとされています。宇宙輸送に大きな変革をもたらすその実用化は、アメリカ航空宇宙局(NASA)をはじめ世界中から注目されています。このページでは、話題のStarshipの記事を随時ピックアップしていきます!
目次
スターシップ(StarShip)とは

Starshipは1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と2段目の大型宇宙船「Starship」からなる全長123mの再使用型ロケットで、打ち上げシステムとしてもStarshipの名称で呼ばれています。液体メタンと液体酸素を使用する「Raptor(ラプター)」エンジンをStarship宇宙船は6基(大気圏内用3基・真空用3基)、Super Heavyは33基搭載しています。
SpaceXによると、両段を再使用する構成では100~150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げ可能。2段目のStarship宇宙船は単体でも準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能で、地球上の2地点間を1時間以内に結べるとされています。

また、Starship宇宙船はアメリカが主導する月探査計画「Artemis(アルテミス)」の月着陸船「HLS(Human Landing System、有人着陸システム)」のひとつとしても採用されており、アメリカ航空宇宙局(NASA)によれば同計画初の有人月面着陸を行う「Artemis III(アルテミス3)」ミッションでHLS仕様のStarship宇宙船が使用される予定です。
スターシップの飛行試験の履歴
第8回飛行試験:未定
スターシップの次の飛行試験の日程や詳細は、2025年2月16日現在、公式には発表されていません。発表され次第、随時情報を更新していきます。
第7回飛行試験:2025年1月17日
1段目の大型ロケット「Super Heavy」は発射台へ帰還することに成功したものの、2段目のStarship宇宙船はエンジン燃焼終了予定時刻の前に通信が途絶。SpaceXによると、Starship宇宙船は機体後方で火災が発生して分解した模様です。
- スペースXが「スターシップ」第7回飛行試験を実施 ブースター帰還も宇宙船は通信途絶える(2025年1月17日)
第6回飛行試験:2024年11月20日
Starship宇宙船は宇宙空間を飛行後に大気圏へ再突入し、発射から1時間ほど後に予定通りインド洋への着水を行って飛行を終えています。
- スペースXが「スターシップ」の第6回飛行試験を実施 インド洋に着水成功(2024年11月20日)
第5回飛行試験:2024年10月13日
2段目のStarship宇宙船は宇宙空間を飛行後に大気圏へ再突入し、発射から1時間ほど後にインド洋の目標エリアに着水することに成功。また、1段目の大型ロケット「Super Heavy」は発射台へ帰還することに初めて成功しており、SpaceXはその時の様子を捉えた動画を公開しています。(動画はリンク先)
- ついに発射台でブースターを空中キャッチ スペースXが「スターシップ」の第5回飛行試験を実施(2024年10月13日)
- スペースX、新型ロケット「スターシップ」第5回飛行試験実施 スーパーヘビーが初めて発射台に帰還(2024年10月15日)
- スターシップ第5回飛行試験のブースター帰還は中止される寸前だった?(2024年10月29日)
第4回飛行試験:2024年6月6日
4回目の飛行試験でStarship宇宙船は、上昇飛行を完了して宇宙空間を慣性飛行した後に大気圏へ再突入し、海上へ軟着水することに初めて成功しました。
- スペースX、新型ロケット「スターシップ」第4回飛行試験実施 宇宙船の軟着水に成功(2024年6月6日)
第3回飛行試験:2024年3月14日
3回目の飛行試験でStarship宇宙船は、上昇飛行を完了して地球低軌道の高度に到達し、初めて大気圏へ再突入する段階まで飛行することに成功しています。
第2回飛行試験:2023年11月18日
2回目の飛行試験で、Starship宇宙船は最終的にハワイ沖の太平洋へ発射90分後の着水を目指していましたが、発射約8分後の時点で宇宙船は失われました。
- スペースX、新型ロケット「スターシップ」第2回飛行試験実施 宇宙船は宇宙空間到達後に喪失か(2023年11月20日)
第1回飛行試験:2023年4月20日
軌道打ち上げ用の発射台から初めて飛び立ったStarshipは過去最高となる高度39kmに到達したものの、高度とコントロールを失ったため約4分後に飛行中断システムが作動され、機体は空中で分解して飛行を終えました。
- スペースX、スターシップの無人飛行試験実施 高度39kmに到達も4分後に飛行中断(2023年4月21日)
これからのスターシップ
2025年1月の第7回飛行試験ではStarship宇宙船が失われてしまったものの、SpaceXは次の飛行試験に向けた準備を着々と進めています。有人月探査ミッションだけでなく、人間が別の惑星に定住することさえ可能にするかもしれないStarshipの開発状況からは今後も目が話せません。
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- 【宇宙クイズ】スターシップの全長は、イーロン・マスク氏の身長何人分?
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編集/sorae編集部