1977年に打ち上げられたアメリカ航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ボイジャー1号(Voyager 1)」と「ボイジャー2号(Voyager 2)」。双子の探査機である2機は、木星とそれよりも遠い惑星の写真や観測データを取得して地球に送った後も飛び続け、太陽から遠ざかっていくように今も飛行し続けています。
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現在の位置はボイジャー1号が太陽から166天文単位以上、ボイジャー2号が太陽から138天文単位以上離れていて、通信には片道だけでも1号が23時間以上、2号が19時間以上かかります(2025年2月10日時点)。太陽の勢力範囲と言える太陽圏を脱出し、度重なるトラブルを乗り越えつつ、貴重な星間空間の観測データを今も送り続けているボイジャー1号とボイジャー2号。このページでは、そんなボイジャーの話題の記事を随時ピックアップしていきます!
2025年現在までのボイジャー1号ニュース
soraeがこれまでに紹介した「ボイジャー1号」のニュースをまとめました。太陽圏離脱から現在までの情報を最新順に並べています。(※見出しの日付はsoraeが記事を公開した日です)
送信機の再作動に成功!:2024年11月27日
運用チームは2024年11月初旬にXバンド送信機(8.4GHz)の再作動に成功し、11月18日の週から科学機器による観測データの収集が再開されました。なお、問題発生後は一時的にSバンド送信機(2.3GHz)に切り替えられていました。
送信機の1つが停止:2024年10月31日
2024年10月18日、NASAの深宇宙通信網(DSN)がボイジャー1号からの信号を受信できず、問題が発覚しました。10月16日に送信されたヒーターのオン指令が障害保護システムを作動させ、Xバンド送信機のデータ送信速度が低下したと考えられています。
スラスター切り替えに成功:2024年9月12日
NASAのジェット推進研究所(JPL)は、2024年9月10日付でボイジャー1号のスラスター切り替えに成功したと発表しました。ボイジャー1号は2024年9月12日時点で地球から約246億km(約164天文単位)離れた場所を航行しています。
トラブルの一部が復旧:2024年4月30日
2023年11月14日から読み取り不能な状態のデータを送信するトラブルを抱えていたボイジャー1号について、NASAは2024年4月4日付の公式ブログへの投稿で原因を断定したことに言及。今後の復旧に楽観的な見通しを示していましたが、同年4月22日付のブログへの投稿にて、ボイジャー1号から探査機の状態に関するデータが正常に送信されていることを確認したと発表しました。
不具合原因の一部を特定:2024年4月9日
2024年4月4日付のNASA公式ブログでは、不具合原因の一部が特定されたという内容が投稿されています。問題が発生したコンピューターのメモリの一部が破損していることが原因だとし、問題解決には数週間から数か月かかる可能性があるものの、壊れたメモリを経由しない方法を見つけられると楽観的な見方が示されています。
コンピューターの一部で問題発生:2023年12月13日
ボイジャー1号のフライトデータシステム(Flight Data System: FDS)に問題が発生しました。FDSは科学機器で収集された観測データや探査機の状態に関する工学データを収集し、サブシステムの1つ「テレメトリ変調ユニット(Telemetry Modulation Unit: TMU)」を介して地球に送信する役割などを担っています。
一部の問題を解消:2022年8月31日
ボイジャー1号から送信された姿勢制御システム「AACS」の状態を示すデータに「文字化け」が生じた理由を探ったJPLの運用チームは、AACSが何年も前に動作を停止したオンボードコンピューターを介してデータを送り始めたために、データが破損したことを突き止めました。
データの一部に問題:2022年5月20日
2022年5月18日、ボイジャー1号から送られたデータの一部に問題が見つかったことが発表されました。地球との通信に不可欠な高利得アンテナの向きを維持する役割を担う姿勢制御システム「AACS」に異常が発生したようです。
星間空間でプラズマ波を検出:2021年5月12日
2021年5月10日に『Nature Astronomy』で発表されたコーネル大学主導の研究によると、ボイジャー1号の観測装置が星間ガスの「かすかで持続的な低音」(プラズマ波)を検出することに成功しています。
軌道修正エンジン点火:2017年12月4日
ボイジャー1号のバックアップスラスタを37年ぶりに点火することに成功したと報告されました。2014年以降、姿勢制御用スラスタの性能が低下し、運用上の課題となっていました。
ついに太陽圏外に:2013年9月13日
NASAは2013年9月12日、ボイジャー1号が太陽圏を脱出し、星間空間を飛行していると正式に発表しました。NASAの研究者らによると、ボイジャー1号から届いたデータから逆算すると、ボイジャー1号は2012年8月頃に最初に星間空間入ったといいます。
2025年現在までのボイジャー2号ニュース
soraeがこれまでに紹介した「ボイジャー2号」のニュースをまとめました。太陽圏離脱から現在までの情報を最新順に並べています。(※見出しの日付はsoraeが記事を公開した日です)
科学機器の1つをシャットダウン:2024年10月3日
NASAは2024年10月1日付で、ボイジャー2号の電力消費を抑えるため、搭載されている科学機器の1つをシャットダウンしたことを明らかにしました。
通信の再開に成功:2023年8月5日
NASA2023年8月4日付で、中断していたボイジャー2号との通信が回復したことを明らかにしました。ボイジャー2号は正常に動作しており、観測機器で得られた科学データや探査機自身の状態を示すデータの送信が再開され始めたということです。
通信が中断:2023年7月29日
NASAは2023年7月28日付で、ボイジャー2号との通信が送信・受信ともに中断していることを明らかにしました。
科学機器のシャットダウンを見送り:2023年4月30日
NASAは2023年4月26日、ボイジャー2号について、科学機器に供給する電力を確保するための新たな措置を講じたと発表。この措置により、ボイジャー2号の科学機器のシャットダウン開始を先送りできる見込みです。
一時的に電力が不足:2020年1月30日
NASAは2020年1月28日、ボイジャー2号において、電力の不足にともない探査機を障害から保護するためのソフトウェアが作動していたことを発表しました。
星間空間に到達:2018年12月11日
NASAは2018年11月5日、ボイジャー2号が太陽圏を抜け、星間空間に到達したことを発表しました。これは2012年のボイジャー1号に続き、人類史上2つ目の人工物が太陽圏外へ到達したことを意味します。
ボイジャーは今どこに??
NASAが公開している 「Eyes on the Solar System」では、ボイジャー1号とボイジャー2号の打ち上げから現在までの位置を確認することができます。位置や距離、軌道情報を時系列順に3Dで可視化できる便利なツールです。
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- Eyes on the Solar System(外部サイト)
※Google Chromeでは正常に動作しない可能性があります。編集部ではSafariでの動画確認を行っています。
ボイジャーの現在地の表示方法
- 「Eyes on the Solar System」 にアクセスします。
- 画面の右上に表示される3本線のアイコンをクリック(タップ)します。
- 表示された検索窓に「Voyager 1」または「Voyager 2」を入力するか、Spacecraftの項目からVoyagerを選択してください。
これからのボイジャー
2025年7月で打ち上げから48年を迎えるボイジャー1号とボイジャー2号。運用チームはコンピューターや送信機などのトラブルを何度も乗り越えてきましたが、電源として搭載されている放射性同位体熱電気転換器(Radioisotope Thermoelectric Generator: RTG、原子力電池の一種)の発電量は毎年低下しているため、いつかはミッションを終える時が訪れます。
ボイジャーの最新情報が気になる人は、このページを時折チェックしてみて下さい!
編集/sorae編集部