
こちらは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した「オリオン座分子雲(Orion Molecular Clouds)」のクローズアップです。オリオン座の方向、地球から約1280光年先にあります。

星形成のあらゆる段階が観測できる領域
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、観測されたのは有名な散光星雲「オリオン大星雲(M42)」の背後に広がる、オリオン座分子雲のごく一部です。この画像は、ウェッブ宇宙望遠鏡の「NIRCam(近赤外線カメラ)」で取得したデータを使って作成されており、色は観測時に使用されたフィルターに応じて擬似的に着色されています。
オリオン座分子雲は高密度に集まった冷たいガスと塵(ダスト)の広大なフィラメント構造で、「OMC-1」から「OMC-4」まで4つの領域に分かれていますが、今回観測されたのは「OMC-2」の北側、幅およそ150光年の範囲にあたります。
この領域には、星の材料となるガスが収縮しはじめた「原始星」や、惑星の材料となる「原始惑星系円盤」、そして成熟した恒星になりつつある「前主系列星」にいたるまで、さまざまな成長段階にある星が存在しており、ひとつの視野におさめられています。
原始星が放つ強力なジェットと衝撃波
分子雲の高密度な部分で誕生した原始星は、周囲のガスを重力で引き寄せて取り込みながら成長していきます。このとき、原始星の両極方向には高いエネルギーを持った双方向のジェット(細く絞られた高速なガスの流れ)が噴出します。
原始星のジェットは周囲の分厚いガスや塵に激しく衝突して衝撃波を生み出し、加熱されたガスが長い帯状の構造を形成しています。画像をよく見てみると、大小さまざまなジェットの痕跡があらわれており、活発な星形成活動を物語っています。
赤外線でのぞき込んだ雲の奥深く
塵が豊富な分子雲では可視光線がさえぎられてしまうため、OMC-2の内部で育ちつつある星々の姿を捉えることは困難です。ウェッブ宇宙望遠鏡は塵にさえぎられにくい赤外線での観測に特化していることから、暗い塵の繭(まゆ)をのぞき込み、その奥深くで産声を上げた星々を観測することができます。
ESAによると、画像でぼんやりとした青色や水色に輝いている部分は、塵の粒子が散乱した星の光です。濃い茶色や黒色に見える部分は、背後からの光を完全にさえぎってしまうほど高密度な、低温の塵の塊を示しています。
OMC-2のように比較的地球に近い分子雲は、星の進化の初期段階を学ぶための、優れた実験室といえる場所です。研究者はウェッブ宇宙望遠鏡の観測で得られたデータを利用して、数多くのアウトフロー(ガスなどの流れ)が星の形成に与える影響や、若い星から放出された紫外線が原始惑星系円盤の化学的な性質に与える影響を調査する予定だということです。
冒頭の画像はESA/Webbから2026年6月5日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部























