
NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年3月5日付で、惑星探査機「ボイジャー1号(Voyager 1)」と「ボイジャー2号(Voyager 2)」の消費電力を減らして星間空間における観測をできる限り長く続けるために、科学装置をそれぞれ1基ずつ停止させると発表しました。

稼働中の科学装置はボイジャー1号・2号ともに10基のうち3基へ
対象となる科学装置は、ボイジャー1号が宇宙線サブシステム(Cosmic Ray Subsystem: CRS)、ボイジャー2号が低エネルギー荷電粒子観測装置(Low-Energy Charged Particles: LECP)です。発表によればボイジャー1号のCRSはすでに2025年2月25日に停止されており、ボイジャー2号のLECPは2025年3月24日に停止される予定です。
2機のボイジャーには全部で10基の科学装置が搭載されていますが、これまでにどちらも6基ずつの装置が停止されていました。今回の措置により、稼働中の科学装置はボイジャー1号がLECP・磁力計(Magnetometer: MAG)・プラズマ波サブシステム(Plasma Wave Subsystem: PWS)の3基、ボイジャー2号がCRS・MAG・PWSの3基となります。
電力の消費を抑えてなるべく長く観測し続けるための決断
2025年3月7日時点でボイジャー1号は太陽から約248億9321万km(約166.4天文単位)、ボイジャー2号は太陽から約208億1062万km(約139.1天文単位)離れたところを飛行しており、地球との通信には片道だけでもボイジャー1号は約23時間14分、ボイジャー2号は約19時間30分を要します。
これほど太陽から遠く離れた場所でもボイジャーが稼働し続けられるのは、動力源としてプルトニウム238の崩壊熱から電気を得る放射性同位体熱電気転換器(Radioisotope Thermoelectric Generator: RTG、原子力電池の一種)が搭載されているからです。しかし、ボイジャーのRTGの発電量は時間が経つとともに低下しており、NASAによれば毎年約4ワットずつ減少しています。
太陽圏や星間空間の観測をなるべく長期間行うために、ボイジャーの運用チームは重要だと判断したもの以外の科学装置を停止させるとともに、飛行に不可欠ではないヒーターなどの装置をオフにしたり電圧の監視方法を変更したりすることで、科学機器に供給する電力を確保し続けています。それでもボイジャーの電力は不足し続けていくことから、NASAは今回の科学装置停止を決定しました。
ボイジャーのプロジェクトマネージャーを務めるNASAのJPL=ジェット推進研究所のSuzanne Doddさんは「電力は残り少なくなっています。今の段階で機器を停止しなければ、あと数か月で電力が尽き、ミッション終了を宣言せざるを得なくなるでしょう」とコメントしています。それぞれ1基の科学装置を停止したことで、ボイジャー1号と2号は約1年分の電力を確保できる見通しです。
NASAは2030年代まで少なくとも1基の科学装置を稼働させるための電力を確保したいと考えており、今後も装置を1基ずつ停止させていく計画を立てています。2026年にはボイジャー1号のLECPと、ボイジャー2号のCRSを停止する予定だということです。
文・編集/sorae編集部
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