惑星状星雲とは?恒星の終焉を象徴した最期の輝き 
NASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された惑星状星雲「ESO 455-10」の画像。(Image Credit:ESA/Hubble & NASA, L. Stanghellini)

惑星状とは、恒星が寿命を迎える際に放出するガスが紫外線によって電離され、輝いて見える天体です。という名称ですが、昔の望遠鏡では、天体をハッキリと捉えることができず、惑星のように見えたことに由来しています。

今回は、について分かりやすく解説したいと思います。

惑星状星雲「ESO 455-10」ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
NASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された「ESO 455-10」の画像。(Image Credit:ESA/Hubble & NASA, L. Stanghellini)

核融合の終了と赤色巨星の誕生

恒星は、水素を燃料とする核融合反応によって輝いています。しかし、時間が経つと、核融合の生成物であるヘリウムが中心部に蓄積し、塊を形成します。

ヘリウムは水素に比べて核融合が起こりにくいため、中心部にヘリウムの塊ができると、核融合はそこで停止し、代わりにヘリウム塊の外側で水素の核融合が続きます。

しかし、ヘリウムの塊自体では核融合が起こらないため、この塊は自身の重力で圧縮され、非常に高温・高圧になります。その結果、熱がヘリウム塊の外側に伝わり、水素の核融合が活発化し、恒星全体が膨張します。これが赤色巨星です。

赤色巨星の想像図
【▲ 赤色巨星の想像図(NASA's Goddard Space Flight Center/Chris Smith (KBRwyle)
)】

赤色巨星では、恒星全体がこのように膨張するため、外層の重力による束縛が弱まり、大量のガスが宇宙空間へと放出されます。これを質量放出と呼びます。

白色矮星の紫外線で輝く惑星状星雲

やがて、ヘリウムを燃料とする核融合が始まりますが、最終的には、水素やヘリウムなどの核融合燃料が尽きて核融合が停止し、恒星のコアだけが残ります。これがです。

は、地球程度の大きさに、太陽程度の質量が詰め込まれた、とても高密度の天体です。非常に高温なために強烈な紫外線を放射しています。冒頭で紹介した惑星状星雲ESO 455-10でも中心で輝いているのもです。

白色矮星の想像図
【▲ の想像図(NASA's Goddard Space Flight Center/Scott Wiessinger
)】

白色矮星の紫外線が、周囲に残ったガスを電離し、を形成します。この現象は恒星の最終的な姿であり、太陽も同様の運命を辿ると考えられています。

まとめ

惑星状は、星の一生の終わりを飾る天体で、私たちに宇宙の壮大さを感じさせます。また、惑星状星雲の研究は、星の誕生や進化、さらには星間物質の循環についての貴重な手がかりを与えてくれます。

今後も、より精密な観測技術や理論研究の進展により、惑星状星雲に関する新たな発見が期待されており、それは宇宙のさらなる理解を深める重要な一歩となるでしょう。

 

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Source

  • Image Credit: ESA/Hubble & NASA, L. Stanghellini
  • NASA - Hubble Spots an Interstellar Interaction

文/飯銅重幸 編集/sorae編集部