高い解像度で宇宙のさまざまな謎を解き明かしてきた南米・チリの電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」。今回、12年前に検出された星形成銀河までの距離をアルマ望遠鏡によって確かめたところ、この銀河が130億光年ほど先の遠い宇宙にあることが明らかになりました。

■直接観測された塵が豊富な星形成銀河としては最遠記録

遠方の星形成銀河「MAMBO-9」の想像図(Credit: NRAO/AUI/NSF, B. Saxton)

Caitlin Casey氏(テキサス大学オースティン校)らの研究チームが観測したのは、2007年に検出された銀河「MAMBO-9」です。当時、MAMBO-9はスペインの電波望遠鏡「IRAM30m望遠鏡」やフランスの「ビュール高原電波干渉計」によって観測されていましたが、地球からの距離を突き止めるには至りませんでした。

今回、Casey氏らがアルマ望遠鏡を使ってMAMBO-9を観測したところ、この銀河が地球からおよそ130億光年先、ビッグバンから9億7000万年ほどしか経っていない宇宙に存在していたことが明らかになりました。

同時に、MAMBO-9は大量の塵をともなう巨大な星形成銀河であることも判明しています。星の材料となる塵とガスの総質量は天の川銀河にある星々の合計質量の10倍に達しており、星形成活動がまだそれほど進んでいない様子がうかがえます。また、MAMBO-9には大小2つの塊があり、合体が進行しつつある姿を見せていることもわかりました。

遠い宇宙にある銀河の観測には、地球から見て手前にある別の銀河や銀河団の重力によって光が曲げられる「重力レンズ」効果を用いることがありますが、MAMBO-9は重力レンズ効果を受けていません。地球から重力レンズ効果を介さずに直接観測される天体のうち、MAMBO-9は塵が豊富な星形成銀河としては最も遠くに見つかったものとなります。

塵に富む星形成銀河は、毎年太陽数百個から数千個分というハイペースで星々を生み出します。こうした銀河は初期宇宙には存在しないと考えられてきましたが、近年ではビッグバンから10億年以内の宇宙でも見つかるようになりました。

Casey氏は今後も遠方宇宙の星形成銀河を探し続けることで、初期の宇宙ではどのようにして巨大な銀河が形成されたのか、死にゆく星の産物である塵がこれほど早い時期にどうやって大量に生み出されたのか、その謎を明らかにしたいと語っています。

アルマ望遠鏡によって観測されたMAMBO-9の姿。2つの塊から構成されていて、合体の途上にある姿だとみられている(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), C.M. Casey et al.; NRAO/AUI/NSF, B. Saxton)

 

Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), C.M. Casey et al.; NRAO/AUI/NSF, B. Saxton
Source: 国立天文台
文/松村武宏

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