流星群とは?「流れ星」の仕組みや天母体を解説

流星群は夜空に現れる美しい現象で、宇宙を漂う塵が地球の大気に突入して燃え上がる際に生じるものです。流れ星として知られる流星が、特定の方向から一斉に現れる現象を「流星群」と呼びます。流星群は毎年決まった時期に観測でき、特に三大流星群(しぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群)が有名です。

「流れ星が見えている間に願い事を3回唱えると、願いことがかなう」とよく言われますが、流星は見つけにくく、すぐに消えてしまうので、そのように言われるのかもしれません。

本記事では「流星・流星群」とは何なのか、おさらいしていきます。

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流星(流れ星)の正体

流星は「星」の字が付きますが、遠い星が夜空を流れているのではなく、地上約100kmの大気圏で発生している現象です。宇宙を漂う微細な塵や粒子(直径0.1ミリメートル~数ミリメートル)が、地球の大気圏に突入し、空気との摩擦で発光しています。

この塵は主に彗星や小惑星から放出されたものです。大気圏に突入すると熱せられて輝き、一瞬の輝きで空を彩ります。

流星群と放射点

流れ星の参考画像(Credit: 写真AC)
流れ星の参考画像(Credit: 写真AC)

流星群は、夜空の特定の一点(放射点)から流れ星が放射状に飛び出すように見えます。

この現象が起こるのは、流星群が地球の大気に同じ方向から突入するためです。放射点は流星群の名前の元となり、例えばふたご座流星群は、ふたご座付近に放射点があります。さらに、同じ星座に複数の流星群がある場合には、放射点に近い星の名前を用いて区別されます。例えば、みずがめ座δ(デルタ)流星群は、みずがめ座の4番目に明るい星にちなんで名付けられています。

流星群を観測する際は、放射点を意識して周囲の空を眺めるようにしましょう。

流星群は毎年決まった時期にやってくる

流星群は毎年ほぼ決まった時期に現れます。

流星群の活動が最も活発になる瞬間を「極大」と呼びます。例えば、しぶんぎ座流星群は1月4日頃、ペルセウス座流星群は8月13日頃、ふたご座流星群は12月14日頃に極大を迎えます。

これら三大流星群は、年間を通して多くの流星が安定して観測できるため人気があります。

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流星群と彗星の関係

彗星と流星群の関係(Credit: 国立天文台 天文情報センター)
彗星と流星群の関係(Credit: 国立天文台 天文情報センター)

流星群は「彗星(ほうき星)」と密接な関係があります。なぜかといえば、彗星が流星群のもとになっているからです。

彗星はそれぞれ固有の軌道を描きながら太陽を公転しています。彗星の本体は水や二酸化炭素などの氷に塵が混じったもので、太陽に近づくと彗星本体の氷が溶けてガスと塵が放出されます。

彗星の活動によって放出された一群の塵は、彗星の軌道に沿って帯状に分布しています。この塵の帯はダストトレイル(Dust trail)」と呼ばれています。これまで、いくつもの彗星が太陽に近づくたびに塵を放出し、その軌道付近にダストトレイルを形成してきました。

このダストトレイルと地球の軌道が交差していると、地球がこの交差点に差し掛かったときに大量の塵が大気に突入して、流星群が発生します。流星群が毎年同じ時期に現れるのはこのためです。

そして、ダストトレイルの塵は交差する地球の大気に同じ方向から突入してきます。それぞれの塵の粒はほぼ平行に突入してきますが、その様子を地上から観測すると、空のある一点、すなわち放射点から放射状に流れているように見えるのです。

ちなみに、流星群の放射点の高度が高くなるほど、観測できる流星の数は多くなります。流星群の放射点が地平線付近にある場合は、塵が大気に斜めから飛び込んでくるため、観測できる流星の数は少なくなります。

おもな流星群の母天体

塵を放出してダストトレイルを形成し、流星群のもとになる天体のことを「母天体」と呼びます。

たとえば、ペルセウス座流星群の母天体はスイフト・タットル彗星であり、ふたご座流星群の母天体は小惑星ファエトンであると考えられています。一方、しぶんぎ座流星群の母天体は確定しておらず、複数の候補が挙げられています。

また、ファエトンは小惑星に分類されていますが、彗星と小惑星の中間的な特徴を持つ過渡的な天体ではないかとも考えられています。しかし、こうした過渡的な天体がどのように形成されたのかについては、現在のところまだ明らかになっていません。

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編集/sorae編集部