恒星の種類による「ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)」の違いを解説
ハビタブルゾーン(ゴルディロックスゾーン)の恒星種類別比較図表

「ハビタブルゾーン(Habitable zone)」(※)は、「ゴルディロックスゾーン(Goldilocks zone)」とも呼ばれ、恒星の周りを公転する惑星の表面に液体の水が存在できるような、暑すぎず寒すぎない温度の領域のことです。

※…地球型生命が居住できる可能性のある領域

ハビタブルゾーン(ゴルディロックスゾーン)の恒星種類別比較図表
ハビタブルゾーン(ゴルディロックスゾーン)の恒星種類別比較図表(Credit: NASA ESA, Z. Levy (STScI))

こちらの図表では、太陽のような黄色のG型星、オレンジ色のK型星(橙色矮星)、赤色のM型星(赤色矮星)の3種類の恒星が比較されています。K型星とM型星は、どちらも太陽より表面温度が低く、明るさも太陽ほどではありません。

M型星(画像上段)のハビタブルゾーン

M型星のハビタブルゾーンは狭い
【▲ M型星のハビタブルゾーンは狭い(Credit: NASA ESA, Z. Levy (STScI))】

図表上段のM型星には、恒星のすぐ近くに小さなハビタブルゾーンが存在します。また、寿命は数千億年から数兆年にも及ぶ長寿の星で、天の川銀河にある星の約73%を占め、とてもたくさん存在する星です。

しかし、非常に活発な磁場を持っているため、生命に有害な放射線を多く放出している可能性があります。そのX線の放射量は、静穏時の太陽の約400倍と推定されています。

G型星(画像下段)のハビタブルゾーン

G型星のハビタブルゾーンは非常に広範囲
【▲ G型星のハビタブルゾーンは非常に広範囲(Credit: NASA ESA, Z. Levy (STScI))】

図表下段の太陽のようなG型星は、大きなハビタブルゾーンを持ち、比較的穏やかで、有害な放射線の量も少なめです。

しかし、G型星は天の川銀河にある星の約6%に過ぎず、寿命も太陽と同程度の約100億年と、はるかに短いのです。

K型星(画像中段)のハビタブルゾーン

K型星のハビタブルゾーンはちょうどよい?
【▲ K型星のハビタブルゾーンはちょうどよい?(Credit: NASA ESA, Z. Levy (STScI))】

生命が存在する可能性のある惑星を探すとしたら、図表中段のK型星がちょうどいいかもしれません。

K型星の寿命は約200億年から500億年と太陽よりはるかに長く、ハビタブルゾーンも比較的広く、有害な放射線の放出量も少なめです。このようなハビタブルゾーンを持っているK型星は、天の川銀河の星の約13%を占めています

なお、図表は、左から順にハビタブルゾーンの大きさのイメージ、G型星(太陽)を1としたときのX線の放射量、天の川銀河内での星の数の相対的イメージ、星の寿命を表わしています。

 

Source

  • Image Credit: NASA ESA, Z. Levy (STScI)
  • NASA APOD - Goldilocks Zones and Stars

文/吉田哲郎 編集/sorae編集部