「ハビタブルゾーン(Habitable zone)」(※)は、「ゴルディロックスゾーン(Goldilocks zone)」とも呼ばれ、恒星の周りを公転する惑星の表面に液体の水が存在できるような、暑すぎず寒すぎない温度の領域のことです。
※…地球型生命が居住できる可能性のある領域
こちらの図表では、太陽のような黄色のG型星、オレンジ色のK型星(橙色矮星)、赤色のM型星(赤色矮星)の3種類の恒星が比較されています。K型星とM型星は、どちらも太陽より表面温度が低く、明るさも太陽ほどではありません。
M型星(画像上段)のハビタブルゾーン
図表上段のM型星には、恒星のすぐ近くに小さなハビタブルゾーンが存在します。また、寿命は数千億年から数兆年にも及ぶ長寿の星で、天の川銀河にある星の約73%を占め、とてもたくさん存在する星です。
しかし、非常に活発な磁場を持っているため、生命に有害な放射線を多く放出している可能性があります。そのX線の放射量は、静穏時の太陽の約400倍と推定されています。
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G型星(画像下段)のハビタブルゾーン
図表下段の太陽のようなG型星は、大きなハビタブルゾーンを持ち、比較的穏やかで、有害な放射線の量も少なめです。
しかし、G型星は天の川銀河にある星の約6%に過ぎず、寿命も太陽と同程度の約100億年と、はるかに短いのです。
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K型星(画像中段)のハビタブルゾーン
生命が存在する可能性のある惑星を探すとしたら、図表中段のK型星がちょうどいいかもしれません。
K型星の寿命は約200億年から500億年と太陽よりはるかに長く、ハビタブルゾーンも比較的広く、有害な放射線の放出量も少なめです。このようなハビタブルゾーンを持っているK型星は、天の川銀河の星の約13%を占めています。
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なお、図表は、左から順にハビタブルゾーンの大きさのイメージ、G型星(太陽)を1としたときのX線の放射量、天の川銀河内での星の数の相対的イメージ、星の寿命を表わしています。
Source
- Image Credit: NASA ESA, Z. Levy (STScI)
- NASA APOD - Goldilocks Zones and Stars
文/吉田哲郎 編集/sorae編集部