
太陽や月の周りに光の輪が現れる現象は、「ハロー(halo)」と呼ばれ、日本語では「暈(かさ)」とも表記されます。太陽の場合は「日暈(にちかさ)」、月の場合は「月暈(つきかさ)」と呼ばれ、その美しい光景は多くの人々を魅了しています。
月の4重ハロー:スペイン・マドリード近郊で撮影された珍しい光景

この現象は、雲を構成する氷の結晶(氷晶)がプリズムのような働きをし、太陽や月からの光が氷晶を通過する際に屈折して発生する大気光学現象の一種です。
4重月暈の特徴とその珍しさ
上の画像は、2012年のスペイン・マドリード近郊で撮影された非常に珍しい月の4重ハローです。月からの光は六角形の氷晶を通して屈折し、月を中心とした視半径22度の内暈を形成します。その外側には視半径46度の光輪が見え、これが「外暈」と呼ばれるハローです。
4重月暈は非常に珍しく、通常は見られない複数のハローが同時に観測される現象です。特に、月明かりの一部が遠くの氷晶を通して屈折し、月から46度離れた位置に虹のような弧を描き、美しい冬景色の上空に現れます。22度の内暈に加えて46度の外暈も一部見えており、月としては非常に珍しい4重のハローが観測されました。
内暈と外暈の詳細と天体の観測
22度ハローは「内暈」、46度ハローは「外暈」とも呼ばれます。よく見ると、内暈と外暈の間にオリオン座の三つ星やシリウス、ヒアデス星団なども写っています。ベテルギウスは内暈と、プレアデス星団は外暈とほぼ重なって見えています。4重のハローだけでなく、複数の天体も確認でき、幸運にも恵まれた冬空の光景と言えるでしょう。
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Source
- Image Credit: Dani Caxete
- APOD - Quadruple Lunar Halo Over Winter Road
文/吉田哲郎 編集/sorae編集部