
この銀河は、通常では考えられないほど暗く、質量のほとんどを未知の物質が占めるという
宇宙の約27%を占めるとされながら、いまだにその正体が明らかになっていないダークマター(暗黒物質)。このダークマターが大半を占めるとされる大型銀河「Dragonfly 44(ドラゴンフライ44)」の様子が、新たな観測によって明らかになりました。
3億光年先にあるとされるこの銀河は、私たちの銀河系(天の川銀河)に匹敵する質量を持つと推定されています。しかし、内部に存在する星の数ははるかに少ないのです。通常、こうした明るさの低い銀河は「矮小銀河」に分類されますが、Dragonfly 44の場合は質量の大部分をダークマターが占めるため、見かけが非常に暗かったのだと考えられています。
Dragonfly 44は、2014年頃に「かみのけ座銀河団(Coma Cluster)」の一部として発見されました。当初は内部構造や安定性が不明でしたが、その極端に暗い見た目と大きな質量のバランスから、ダークマターが大きく関与していることが示唆されました。
今回の観測で特に重要だったのは、銀河内の星の移動速度を測定することです。星が高速で運動しているほど、銀河が大きな質量を持つことを意味します。実際、観測された星の速度は秒速30マイル(約48キロメートル)に達しており、Dragonfly 44が見た目よりもはるかに大きな質量を抱えていることを示しています。
なお、これ以前にも「おとめ座銀河団(Virgo Cluster)」でダークマターの割合が非常に高い銀河(約99.96%がダークマター)が報告されています。私たちが想像する以上に、宇宙はダークマターに満ちあふれているのかもしれません。
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Source
- Image Credit: Pieter van Dokkum, Roberto Abraham, Gemini, Sloan Digital Sky Survey
- theverge - Massive new galaxy turns out to be 99.99 percent dark matter
編集/sorae編集部