
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「NGC 5257」と「NGC 5258」。おとめ座の方向、地球から約3億光年先にあります。

手をつなぎ踊るような渦巻銀河のペア
画像に向かって左がNGC 5257、右がNGC 5258です。天文学者のHalton Arpが1966年にまとめた特異銀河(特異な形態を持つ銀河)のカタログ「Atlas of Peculiar Galaxies」には、「Arp 240」としてペアで収録されています。
画像をよく見ると、2つの銀河は淡い光の帯でつながっているのがわかります。NASA(アメリカ航空宇宙局)によれば、質量とサイズがよく似たこの2つの銀河は、接近したことによって互いの強い重力で引き合い、相互作用を起こしています。
星々やガスで形成された橋のような構造でつながったその姿を、NASAは「まるで2人のダンサーが手をつないでピルエットを踊っているかのよう」と表現しています。
活発な星の誕生と相互作用を経た進化
優雅に踊るような見た目とは裏腹に、銀河の内部は非常にダイナミックな状態にあるようです。NASAによると、両方の銀河の中心にはそれぞれ超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)が潜んでおり、渦を巻く円盤部では新しい星が次々と生まれる活発な星形成が行われています。
さらに近年の天文学では、こうした相互作用銀河のより複雑な素顔も明らかになってきています。たとえばALMA(アルマ望遠鏡)やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡といった最新鋭の機器を活用した近年の研究によれば、厚い塵(ダスト)にさえぎられた領域での星形成活動や分子ガスの分布などが詳細に解析されつつあり、銀河は衝突を経てどのように進化していくのか、そのメカニズムの解明が進められています。
宇宙の歴史をひもとく「銀河の衝突」
NASAによると、近傍の宇宙で衝突中の銀河が観測されるのは100万個に1つという割合ですが、銀河と銀河が今よりもっと近づいていた初期の宇宙では、銀河の合体はずっと頻繁に起こっていたと考えられています。つまり、Arp 240のような相互作用銀河を観測することは、初期の宇宙で起きていた出来事を理解するための重要な手がかりになるのです。
時には互いに接近し、激しい衝突・合体を経験する銀河。数億年という途方もない時間をかけて進行する“宇宙のダンス”を経て、最終的に2つの銀河は融合し、新しい銀河が誕生すると考えられています。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ18周年を記念してNASAなどから2008年4月24日付で公開されたもので、NASAのHubble公式Xアカウントが2026年6月2日に改めて紹介しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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