
(引用元:ESA/Hubble)
今回紹介するのは、ハッブル宇宙望遠鏡が「Frontier Fields(フロンティア・フィールズ)」計画の一環として撮影した遠方宇宙の画像です。
画面いっぱいに散らばる色とりどりの天体は、膨大な数の銀河です。黄みがかった楕円銀河や青い渦巻銀河、赤くにじんだ遠方銀河が視野を埋め尽くしています。しかし、この画像には、そうした遠方の銀河とはまったく別のものも写り込んでいます。画面を横切るように、S字やカーブ状の筋が何本も走っているのが分かりますでしょうか?

これらの筋は、太陽系内を移動する小惑星の軌跡です。小惑星までの距離は平均で約2億6000万km。背景の銀河が数十億光年のかなたにあるのに対して、小惑星たちは天文学的にはごく近い場所を通過していることになります。
soraeでは以前にも「UGC 12158」や「NGC 4548」の画像に写り込んだ小惑星の軌跡を紹介しましたが、今回の画像ではさらに多くの軌跡が確認されています。この画像には小惑星の軌跡が延べ20回分写っており、そのうち7つが個別の小惑星と判定されました。7つのうち既知の小惑星は2つだけで、残る5つはそれまで暗すぎて確認されていなかった天体です。
なぜ、これほど多くの小惑星が写り込んだのでしょうか。
その理由は観測方向にあります。この画像は、くじら座の方向にある銀河団「Abell 370(エイベル370)」の近くに設定された観測領域を捉えたものです。この方向は、太陽系の惑星や多くの小惑星が集まる平面である「黄道面」に近いため、小惑星の軌跡が写り込みやすくなります。
軌跡がS字やカーブを描いているのは、「視差」と呼ばれる効果によるものです。ハッブル宇宙望遠鏡は地球の周りを公転しているため、近くにある小惑星の見かけの位置は、遠くの星や銀河を背景に少しずつずれていきます。これに加えて、地球自身が太陽の周りを公転していることや、小惑星自身が軌道上を移動していることも、軌跡の曲がり方に影響しています。1本の長い線ではなく途切れ途切れに見えるのは、複数回の露出を合成した画像であるためです。
遠方宇宙を探るための画像に、太陽系の小惑星がふと姿を見せる。銀河の進化を調べるための観測データに、太陽系内の小天体が同居しているのは、ハッブル宇宙望遠鏡ならではの面白さと言えるかもしれません。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESA/Hubble - Abell 370 Parallel Field with Asteroids(opo1733a)
- NASA - Abell 370 Parallel Field with Asteroids
- HubbleSite - Hubble Sees Nearby Asteroids Photobombing Distant Galaxies(Release 2017-33)
- Frontier Fields - Meet Abell 370










