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【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:Stefano Ivan Stingaさん)

こちらは、NASAの有人月ミッション「アルテミスII(Artemis II)」の宇宙飛行士が撮影した62枚の画像から再構成された、皆既日食の様子です。

日本在住で天体写真の撮影や探査機データの画像処理に取り組むStefano Ivan Stingaさんが作成し、今回、sorae編集部にご提供いただきました。

アルテミスIIの宇宙飛行士が撮影した62枚の画像から再構成された皆既日食。月の周囲に広がる淡い光は、惑星間の塵が太陽光を散乱したもの(画像:NASA/Artemis II Crew/画像処理:Stefano Ivan Stinga)
【▲ アルテミスIIの宇宙飛行士が撮影した62枚の画像から再構成された皆既日食。月の周囲に広がる淡い光は、惑星間の塵が太陽光を散乱したもの(画像:NASA/Artemis II Crew/画像処理:Stefano Ivan Stinga)】

日本時間2026年4月7日、月の近くを通過するフライバイの途中で、宇宙船「オリオン(Orion)」は月の影に入りました。宇宙飛行士たちは、月の裏側の向こうに太陽が隠れる皆既日食を1時間近くにわたって観測し、その様子をオリオンの窓越しに撮影しました。

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月の周囲に広がる淡い光と、地球照に照らされた月の縁

月の周囲には、淡い光が帯状に広がっています。この光についてStingaさんは、太陽系内を漂う微細な塵が太陽光を散乱した「Fコロナ」と「黄道光」だと説明しています。月に隠れた太陽の近くで特に明るく、太陽の見かけの通り道である黄道に沿って伸びています。

月の左側の縁には、月の表側の一部が三日月状に明るく写っています。この部分を照らしているのは、地球で反射した太陽光です。「地球照」と呼ばれる現象で、画像ではクレーターなどの地形も見て取れます。一方、円盤の大部分を占める暗い部分は、太陽光が当たっていない月の裏側です。

地球で反射した太陽光「地球照」に照らされた月の表側の一部。明るい部分と暗い部分の境界に、クレーターの起伏が浮かび上がっている(画像:NASA/Artemis II Crew/画像処理:Stefano Ivan Stinga)
【▲ 地球で反射した太陽光「地球照」に照らされた月の表側の一部。細く光る月の縁に、クレーターなどの起伏が見える(画像:NASA/Artemis II Crew/画像処理:Stefano Ivan Stinga)】

また、全体画像の右下には、土星、海王星、火星、水星が黄道に沿って並んでいます。下の拡大画像には、このうち土星、海王星、火星の位置が示されています。なお、金星は画面左端のすぐ外側に位置しています。

黄道光の中に見える土星、海王星、火星。丸印と英語のラベルで、それぞれの位置を示している。海王星の下にある「mag 7.8」は、明るさが7.8等であることを表す(画像:NASA/Artemis II Crew/画像処理:Stefano Ivan Stinga)
【▲ 黄道光を背景に写る土星、海王星、火星。丸印と英語のラベルで、それぞれの位置が示されている。海王星の下にある「mag 7.8」は、明るさが7.8等であることを表す(画像:NASA/Artemis II Crew/画像処理:Stefano Ivan Stinga)】

淡い光、月、星を別々に処理して合成

画像の作成に使われたのは、NASAの惑星データシステム「PDS」で公開されたRAW画像です。撮影には、デジタルカメラ「ニコンZ9」に焦点距離35mm・開放F値2のレンズが使われました。

Stingaさんが使用した62枚は、日本時間2026年4月7日9時51分から10時26分までの約35分間に、最長13秒の露出で撮影されたものです。まず、レンズの周辺部で画像が暗くなる影響(周辺減光)や、露出の違いなどを1枚ずつ補正し、星の位置を基準に各画像の位置をそろえました。

続いて、62枚の中からそれぞれに適した画像を選び、月の周囲に広がる淡い光、月、背景の星を別々に処理したうえで、最後に1枚の画像へと合成しています。

淡い光の処理には55枚を使用しました。星が写っている部分を除外して画像を重ね合わせ、光のなだらかな広がりを再現しています。窓に映り込んだ金星の反射は除去し、惑星の周囲に生じた光のにじみは、黄道に沿って広がる光の帯になじむように補完しています。

月の処理では、候補となる26枚から特に鮮明な17枚を選び、月の位置をそろえて重ね合わせました。さらに、ノイズの低減やぼやけの補正を施し、地球照に照らされた月の縁の細かな起伏を引き出しています。

背景の星は、撮影データから9430個の星の位置、明るさ、色を個別に測定し、その測定値に基づいて丸い光の点として描き直しました。なお、星の位置や明るさなどをまとめた「星表」は、位置の確認や色の補正などにのみ使用しており、撮影データにない星を星表から追加したわけではありません。

撮影データに基づき、見えるように整えた景色

仕上げには、一度の露出では同時に捉えきれない明るい光と暗い月、かすかな星を1枚の画像で見られるよう、明暗の差を調整しています。

月の裏側に当たる暗い領域は、撮影データに地形の模様が記録されておらず、カメラや窓による光の「かぶり」やわずかな反射しか写っていなかったため、黒く表示されています。

星空と淡い光を背景に浮かぶ、月の裏側の輪郭。暗い月面の地形は撮影データに記録されていないため、黒く表示されている。背景の星は、撮影データから測定した位置・明るさ・色に基づいて描き直されている(画像:NASA/Artemis II Crew/画像処理:Stefano Ivan Stinga)
【▲ 星空と淡い光を背景に浮かび上がる月の輪郭。月の裏側の地形は撮影データに記録されていないため、暗い領域は黒く表示されている。背景の星は、撮影データから測定した位置・明るさ・色に基づいて描き直されている(画像:NASA/Artemis II Crew/画像処理:Stefano Ivan Stinga)】

Stingaさんによると、画像の一部をコピーして別の場所に貼り付ける処理や、AIによる生成は行っていないとのことです。また、NASAの公開データをもとに独自に作成した画像であり、NASAの公式画像ではないとしています。

高解像度画像や月・惑星の拡大画像は、Stingaさんの画像紹介ページでご覧いただけます。同じページでは、もとのRAW画像1枚と完成画像を、スライダーを動かして比較することもできます。

 

編集/sorae編集部

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参考文献・出典

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