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NASA(アメリカ航空宇宙局)ジェット推進研究所(JPL)のYang Liu氏を筆頭とする研究チームは、サハラ砂漠で見つかった火星隕石「Teghaza(テガザ)001」について、いつ、どのような場所で形成されたのかを調べた研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「Science」に掲載されています。

火星の表面は古いのに火星隕石は若い

地球ではこれまでに様々な隕石が発見されていますが、その中には火星の表面に天体が衝突した際に弾き出された岩石である「火星隕石」がいくつか存在します。

火星の表面の大部分は、クレーターの大きさと数をもとに、約30億年以上前に形成されたとみられています。ところが過去の研究によると、火星隕石の多くはそれよりもはるかに若い火成岩であり、主要な3つのグループはいずれも24億年前以降に形成されたことがわかっています。

例外である古い火星隕石は、ほぼ1種類の鉱物でできた「ALH 84001」と、さまざまな岩石の破片が集まった「NWA 7034」などしか見つかっていません。火星隕石は火星の表面やマグマの様子を探ることができる貴重なサンプルですが、初期の時代の火星の環境を知る手がかりは限られていたのです。

少なくとも約41億年前に形成か

火星隕石「Teghaza 001」。NASAの記事から引用(Credit: © Darryl Pitt / Maine Mineral & Gem Museum)
【▲ 火星隕石「Teghaza 001」。NASAの記事から引用(Credit: © Darryl Pitt / Maine Mineral & Gem Museum)】

今回の研究対象である「Teghaza 001」は、2022年にマリのサハラ砂漠で見つかった8個の石からなる火星隕石で、重さは合計約800グラムです。研究チームによると、Teghaza 001は主に斜長石と輝石からなる火成岩で、マグマが地下でゆっくりと冷え固まってできたと考えられています。

研究チームがジルコンなどの鉱物を使って複数の方法でTeghaza 001の年代を測定したところ、大半の火星隕石よりも大幅に古い約41億年前という結果が得られました。鉱物に残る変質の痕跡などをもとに、この年代は岩石が熱水によって変質した時期を示しており、変質は結晶化から間もなく起きたと研究チームは結論づけています。

つまり、Teghaza 001として地球に落下した岩石は、遅くとも約41億年前には火星で形成されていたことになります。

南半球の古い高地から来た?

さらに研究チームは、Teghaza 001に含まれるカリウムやトリウムなどの量を、火星を周回する探査機の観測データと比較しました。

その結果、Teghaza 001のカリウムとトリウムの比率は、火星の地殻の平均に近いことが判明しました。また、Teghaza 001の最も可能性が高い起源は、クレーターが多い南半球の古い高地、なかでも巨大な衝突クレーターである「ヘラス盆地」の北西の地域だとみられています。

火星隕石「Teghaza 001」の起源とみられる場所を示した地図。右下の青い楕円形の部分がヘラス盆地(Credit: NASA/JPL-Caltech/USGS)
【▲ 火星隕石「Teghaza 001」の起源とみられる場所を示した地図。右下の青い楕円形の部分がヘラス盆地(Credit: NASA/JPL-Caltech/USGS)】

Teghaza 001は、表面の大部分を占めながらも隕石としてはほとんど入手できていなかった火星の古い地殻のサンプルとして、初期の火星がどのような環境だったのかを探るうえでの貴重な手がかりとなりそうです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典