こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した星形成領域「イータカリーナ星雲」の一角。りゅうこつ座の方向、地球から約7500光年先にあります。

大質量星が形作ったとみられる“猫”のような柱
画像は3つともイータカリーナ星雲にある同じ柱状の構造を捉えたもので、左から順に「ハッブル宇宙望遠鏡による可視光線」「ウェッブ宇宙望遠鏡による近赤外線」「ウェッブ宇宙望遠鏡による中間赤外線」の観測データが使用されています。
NASA(アメリカ航空宇宙局)やESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、この柱状構造は背を向けて座った猫のような姿に見えることから、「猫の頭星雲(Cat’s Head Nebula)」と呼ばれています。猫の頭は右を向いていて、光る右目でこちらを覗いているかのようです。
この構造は、イータカリーナ星雲に存在する大質量星が放つ強い紫外線や恒星風によって、長い時間をかけて形作られた可能性が高いといいます。周囲の星々にガスや塵(ダスト)が削られていくなかで、今のところ侵食に耐えている密度の高い部分が柱のように残ったとみられています。
3つの波長で見比べる“猫の頭星雲”
ハッブル宇宙望遠鏡とウェッブ宇宙望遠鏡のデータから作成された3つの画像を、詳しく見比べてみましょう。同じ天体でも、観測に使用する電磁波の波長によって、見えてくるものは異なります。

左の可視光線の画像では、猫の頭星雲は光を通さない暗褐色の塵の柱として、輝く周囲の領域を背に浮かび上がっています。黄色くかすんで見える柱の右側の縁は、近くの大質量星からの紫外線に照らされて電離したガスの特徴と一致していて、紫外線に加熱されたガスが蒸発するように散逸している可能性があるといいます。また、猫の目にあたる赤い光は、塵に隠された若い星の存在を示しているのかもしれません。

一方、赤外線は可視光線よりも塵を透過しやすいため、中央の近赤外線の画像では柱が少し透けていて、表面の複雑な構造が見分けられるようになります。周囲には青や黄色で示された数多くの星々が現れ、猫の目もはっきりと目立っています。
また、右の中間赤外線の画像では、暖かい塵や、星の光を受けた炭素を含む分子が放つ光によって、星雲内部の入り組んだ構造が描き出されています。柱の左側にある小さな塊や筋状の構造は、中間赤外線の画像で特によくわかります。また、柱の右側で黄色く輝く光源は、塵に包まれた生まれたばかりの星とみられています。

NASAやESAによれば、星が生まれて進化するにつれて、猫の頭星雲のような構造はいずれ散逸していく運命にあります。異なる波長で同じ星雲を見比べることが、複雑な星形成の過程を理解するうえでの手がかりとなっているのです。
ハッブル宇宙望遠鏡とウェッブ宇宙望遠鏡が観測した猫の頭星雲の画像は、NASAとESAから2026年10月29日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NASA Science - Ghostly Cat’s Head Nebula Lurks Within Sight of NASA’s Hubble, Webb
- ESA/Hubble - Ghostly Cat’s Head Nebula lurks within sight of Hubble and Webb
- ESA/Webb - Ghostly Cat’s Head Nebula lurks within sight of Hubble and Webb










