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こちらは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した星形成領域「N159」。かじき座の方向、地球から約16万光年先にあります。

ジェームズ・ウェッブ(James Webb)宇宙望遠鏡が観測した星形成領域「N159」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, E. Sabbi, M. Zamani (ESA/Webb); Acknowledgement: M. H. Özsaraç)
【▲ ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した星形成領域「N159」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, E. Sabbi, M. Zamani (ESA/Webb); Acknowledgement: M. H. Özsaraç)】

色で描き分けられた星形成の現場

正式には「LHA 120-N 159」と呼ばれるN159は、天の川銀河の衛星銀河(伴銀河)のひとつ「大マゼラン雲(大マゼラン銀河)」にあります。

N159は、電離水素領域とも呼ばれる「HII(エイチツー)領域」のひとつです。HII領域とは、誕生した大質量星が放つ強い紫外線によって、周囲の水素ガスが電離している領域のことで、活発な星形成活動の目印になります。

ウェッブ宇宙望遠鏡は主に赤外線で観測を行うため、画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。画像の中央から左側にかけて、そして右側にも広がる淡い青色のガスが、大質量星の紫外線で電離した水素ガスです。その周囲を取り囲む煙のようなオレンジ色の雲は、炭素と水素からなる有機化合物「多環芳香族炭化水素(PAH)」が放つ光を示しています。

中央を横切る暗い赤色の筋は、低温の水素分子のガスでできています。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、この筋は星雲で最も密度が高い部分で、右側の青い領域の上で特によく見えます。また、この筋は内部で誕生した星々を強い放射や恒星風から守っているといいます。

若い天体が集中する西側の領域

ESAによると、N159は誕生から300万年未満と大マゼラン雲で最も若い星形成領域のひとつで、形成の最初期の段階にある星を数千個含んでいます。画像の左側で明るく輝く点は「パピヨン星雲」と呼ばれる電離した水素ガスの非常にコンパクトな塊で、大質量星の誕生に関わっているとみられています。

ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データを使った研究では、進化の進んだ星と、生まれた雲に包まれたままの若い天体を見分けた結果、パピヨン星雲がある東側(画像の左側)に比べて、西側(画像の右側)には若い天体がより多く、狭い範囲に集まっていることがわかりました。研究チームは、西側の領域は東側よりも若く、進化の段階が浅い星形成領域だとする過去の研究結果を、今回の観測が裏付けたとしています。

大マゼラン雲は、水素とヘリウムよりも重い元素の割合が天の川銀河より大幅に低いため、天の川銀河の中よりも初期宇宙に近い条件で星形成を調べることができます。星形成のさまざまな段階を一度に見渡せるN159は、初期宇宙における星の誕生を理解する手がかりをもたらしてくれる領域なのです。

冒頭の画像はESA/Webbから2026年10月22日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典