
(引用元:Stefano Ivan Stingaさん)
こちらは、土星探査機「カッシーニ(Cassini)」が2017年4月13日に撮影した223枚の画像をもとに再構成された、土星と環の姿です。この画像を作成したのは、日本在住で天体撮影や探査機データの画像処理に取り組むStefano Ivan Stingaさんで、sorae編集部にご提供いただきました。

撮影時のカッシーニは土星の影の中にあり、太陽がほぼ土星の真後ろに隠れる方向から撮影していました。環が明るく輝いて見えるのは、環をつくる粒子が背後からの太陽光をカッシーニの方向へ散乱しているためです。
環の光に照らされた土星の夜側
太陽の光が直接届かない土星の夜側にも、雲の模様が浮かび上がっています。Stingaさんによると、これは環から届く光に照らされた、嵐に伴う雲の姿です。円盤上部の明るい帯は、環の光に照らされたこの土星の夜側が、薄い「C環」越しに透けて見えている部分です。その手前を横切るC環の細い筋(リングレット)が、シルエットとして写っています。
一方、環にかかる暗い帯は土星自身が落とした影で、土星の縁を囲む細い光は上層大気を通り抜けた太陽光です。主要な環の外側には淡い「G環」も見えており、Stingaさんによると、画像には衛星の「ミマス」「ヤヌス」「パンドラ」も写っているといいます。


約5時間半の撮影を、一つの時刻・視点に
作成に使われたのは、NASAの惑星データシステム「PDS」で公開されている、カッシーニの広角カメラの較正済みデータです。較正とは、カメラの特性などがデータに及ぼす影響を補正する処理のこと。Stingaさんは細部の表現に赤色フィルターで撮影された125枚を使い、赤・緑・青の各フィルターの画像を組み合わせて色を再現しました。
もとの画像は、世界時2017年4月13日5時40分から11時17分まで、約5時間半にわたって撮影されたものです。これらを単につなぎ合わせるのではなく、探査機の位置や姿勢などを扱う「SPICE」の航法データを用いて、同日8時33分に約65万8000km離れた一つの視点から見た土星の姿へと再構成しています。Stingaさんが作成した完成画像の大きさは8000×5000ピクセルで、基準距離において1ピクセルは約38kmに相当します。
なお、画像処理にあたっては、背景に写る恒星の明るさを4倍に強調しています。どの画像にも使えるデータがない小さな欠損部分は、周囲のデータから補っており、AIによる生成や複製は行っていないといいます。また、G環より外側の空は、淡い環の光とカメラ内部の反射を区別できないため、意図的に黒く処理しているそうです。
高解像度画像や拡大画像は、Stingaさんの画像紹介ページでご覧いただけます。
編集/sorae編集部
画像提供者情報
- Stefano Ivan Stinga さん
日本在住。趣味で天体写真の撮影や、NASAなどが公開している探査機データの画像処理を行う。 - 画像紹介・高解像度ダウンロードページ:https://sting1-space.pages.dev/saturn-2017/
- X(旧Twitter):@Sting1_JP
- Flickr:Stefano Ivan Stinga
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