

7月、本格的な夏が訪れました。夜風に涼を求めても、昼の熱がそのまま残っているような、蒸し暑い夜が続きます。
そのような夜でも、空を見上げると清々しい星のきらめきが楽しめます。夏の空には明るい1等星や分かりやすい形の星座が多く、星を探すのにとても良い時期です。

7月にぜひご覧いただきたいのは「さそり座」です。南の空低いところに、明るめの星がS字の形を描いています。心臓にあたる場所には赤い1等星アンタレスがあるため、比較的見つけやすい星座です。
さそり座の東側には、「いて座」も見られます。目印は南斗六星と呼ばれる、北斗七星に似た星の並びです。小さいですが、2〜4等星が狭いエリアにまとまっているため、意外と見つけやすい形です。

南斗六星から周辺の星を結ぶと、弓を構えた半身半馬のケンタウルスをモチーフとするいて座が浮かび上がります。
神話上の人物については諸説ありますが、いて座は賢者「ケイローン」と結びつけられることもあります。ケイローンは神々から武術、馬術、医学、音楽、予言など多彩な知識や技術を教わり、それをギリシャ神話の英雄たちに伝えたと語られています。
ケイローンの弟子たちも、「へびつかい座」や「ヘルクレス座」として夏の空で見ることができます。
へびつかい座は、さそり座の上に位置する、ギリシャ神話随一の名医「アスクレピオス」をかたどった星座です。へびつかい座の中で最も明るいのは、頭部に位置する2等星ラサルハゲです。名前は「蛇を持つ者の頭」に由来するとされています。

星座絵では、アスクレピオスは一匹の蛇を持つ姿で描かれます。この蛇はへびつかい座の一部ではなく、「へび座」という独立した星座です。へび座はへびつかい座によって頭部と尾部に分けられており、このように二つに分断されている星座はへび座だけです。
蛇は古代ギリシャにおいて再生や医学のシンボルとされており、WHOのマークにも、蛇が杖に巻き付いた「アスクレピオスの杖」が採用されています。
へびつかい座の近くには、ヘルクレス座があります。目印となるのは、ラサルハゲのやや西側に位置する3等星ラスアルゲティです。ラスアルゲティは「ひざまずく者の頭」という意味を持ち、ヘルクレスの頭にあたる星です。
ラスアルゲティから北西側に目を向けると、「H」のような星の並びが見つかります。これがヘルクレス座の胴体にあたる部分です。「Herculis(ヘルクレス)」の頭文字のHと覚えると、星座の形をたどりやすいでしょう。
ヘルクレスは12の試練を成し遂げた、ギリシャ神話随一の英雄です。その試練において、彼が倒した蛇の怪物ヒドラや人食いライオンも星座になっています。
ヘルクレス座は88星座中5番目に大きいものの、1等星や2等星のような目立つ星はなく、星座の世界ではやや控えめな存在です。
東の空には、3つの1等星から構成される「夏の大三角」が見られます。

春の大三角、冬の大三角は正三角形に近い形をしていますが、夏の大三角はやや細長く、切り分けたピザの形に例えられることがあります。
夏の大三角を形作る星は、「こと座」のベガ、「わし座」のアルタイル、「はくちょう座」のデネブです。
このうち、ベガは七夕の織姫星、アルタイルは彦星とみなされています。伝説の通り、二つの星の間には天の川があります。
天の川は、太陽系が位置する天の川銀河を内側から見た姿です。空の澄んだ場所では、その白い帯のようなきらめきが、はくちょう座を貫き、織姫星と彦星の間を通って、へび座の尾部をすり抜け、さそり座といて座の間まで続いているように見えます。
さそり座といて座の間あたりは天の川銀河の中心方向にあたり、天の川が最も濃く見えます。夏休みにアウトドアで山や海へ行く機会があれば、天の川の淡い光を探してみてはいかがでしょうか。
※星座や天体の見える方角や位置関係は、2026年7月15日21時頃のものです。
文・編集/sorae編集部
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