ビッグバン理論とは何か? 宇宙誕生と膨張の証拠をわかりやすく解説

ビッグバン理論は、約138億年前に宇宙が超高温・超高圧の状態で始まり、その“大爆発”をきっかけに宇宙が現在も膨張を続けているという、最も有力な宇宙論です。本記事では、ビッグバンの基本から宇宙の進化、その確固たる証拠までをわかりやすく解説します。

なお、「ビッグバン」を「ビックバン(Bic Bang)」と表記している例もありますが、天文現象としては「ビッグバン」が正しい表記です。

静的な宇宙から動的な宇宙へ:ビッグバン理論の背景

宇宙進化のタイムライン (Credit: NASA)
【▲ 宇宙進化のタイムライン (Credit: NASA)】

20世紀の初めまでは、宇宙は始まりも終わりもない静的で永遠不変のものだと考えられていました。しかし、一般相対性理論の開発や、フリードマンとルメートルの研究により、宇宙が膨張していることが示唆され、ビッグバン理論へとつながります。

  • ニュートンは有限の星の存在を考え、重力による宇宙収縮を指摘
  • アインシュタインは宇宙項を導入し、静的な宇宙を仮定
  • フリードマン&ルメートル:膨張宇宙モデルを提唱

こうした理論の積み重ねにより、宇宙が静的な存在ではなく、動的に膨張していることが明らかになってきました。

膨張宇宙の証拠:ハッブル-ルメートルの法則

膨張する宇宙と観測者からの距離
【▲ 膨張する宇宙 (Credit: 創造情報研究所)】

1929年、アメリカの天文学者ハッブルは、遠くの銀河ほど高速で遠ざかっていることを発見。この関係は銀河の後退速度が距離に比例するという形で表され、現在はハッブル-ルメートルの法則と呼ばれます。

  • 銀河の後退速度 ∝ 銀河までの距離
  • 2018年、国際天文学連合がハッブル-ルメートルの法則の名称を正式に推奨

この観測事実は、過去へさかのぼると宇宙が今より小さかった(=高温・高密度だった)という結論を導き、ビッグバン宇宙論の基盤となりました。

火の玉宇宙論とビッグバンの名付け親

宇宙の初期状態を「火の玉」として描いたのがガモフの理論です。ガモフは、宇宙が高温高密度の火の玉状態から始まり、膨張とともに温度が下がって現在の状態に至ると考えました。

一方、フレッド・ホイルは、宇宙が爆発して始まったという説を皮肉を込めて「ビッグバン理論」と呼びました。しかし、この呼び名が広く定着し、今日では「ビッグバン理論」は最も有力な宇宙論として認知されています。

ビッグバン理論の決定的証拠:宇宙背景輻射

1965年、宇宙のあらゆる方向から降り注ぐマイクロ波が発見されました。これは宇宙背景輻射と呼ばれ、約138億年前(宇宙誕生後約38万年後)に3000K以上の高温だった宇宙から放射された光が、膨張に伴って温度3K(-270℃)まで冷え切った状態で地球に届いているものです。

  • 宇宙背景輻射の存在
  • 宇宙の初期は超高温状態だったことを示す証拠

この発見により、宇宙には“始まり”があるというビッグバン宇宙論が、より確固たるものになりました。

まとめ:ビッグバンが示す宇宙の始まりと進化

ビッグバン理論は、宇宙が有限の過去をもち、高温高密度の状態から膨張を続けているという考え方です。以前は永遠不変とされた宇宙が、実は動的に変化し、進化し続けている。このダイナミックな視点は、私たちが宇宙を理解するうえで非常に重要です。

  • 宇宙は静的ではなく動的
  • ハッブル-ルメートルの法則、宇宙背景輻射がビッグバンの証拠
  • ビッグバン宇宙論:宇宙には“始まり”があり、進化していく

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Source

  • Image Credit: NASA, 創造情報研究所, Shutterstock
  • NASA - Explore Cosmic History

文/sorae編集部