クエーサーとは?ブラックホールと活動銀河核の驚異的なメカニズム
クエーサーを持つ銀河のイラスト。中心部にあるクエーサーからジェットが噴き出している。(Image Credit:NASA, ESA and J. Olmsted (STScI))

宇宙で最も明るい天体の一つであるクエーサー(※)を描いた銀河のイラストをアメリカ航空宇宙局(NASA)が公開しています。

※…クエーサーは「クェーサー」と表現することもあります。また、英語では「Quasar(Quasi-Stellar Object)」で、意味は準星状天体です。

では、クエーサーとは一体どのような天体なのでしょうか。本記事では、クエーサーの正体やブラックホールとの関係、さらにはジェット現象について詳しく解説します。

クエーサーを持つ銀河のイラスト。中心部にあるクエーサーからジェットが噴き出している
クエーサーを持つ銀河のイラスト。中心部にあるクエーサーからジェットが噴き出している。(Credit:NASA, ESA and J. Olmsted (STScI))

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クエーサーとは?ブラックホールとの関係

ほとんどの銀河の中心には巨大なブラックホールが存在すると考えられています。例えば、私たちの天の川銀河の中心には、太陽の質量の約400万倍の質量を持つ「いて座A*(いてざえーすたー:Sgr A*)」と呼ばれる超大質量ブラックホールの存在が確認されています。

ブラックホールは通常、その強力な重力によって周囲のガスや塵を引き寄せ、それが降着円盤を形成します。この降着円盤内で物質が高速で回転し、摩擦熱によって摂氏数百万度以上の高温となり、強烈な「電磁波(X線や可視光線)」を放出します。

こうした活動を行っている銀河の中心部分を活動銀河と呼び、クエーサーはこの活動銀河核の一種です。

ジェット現象と銀河の進化

時には、ブラックホールの降着円盤から光速に近い速度でガス流が噴き出すことがあります。これをジェット現象と呼び、クエーサーの特徴的な現象の一つです。

ジェットは銀河の進化に大きく関わっており、この現象によって恒星の材料となるガスが吹き飛ばされ、銀河内での恒星形成が抑制される可能性があると考えられています。

天の川銀河もかつては活動銀河核を持っていた

現在、私たちの天の川銀河は穏やかに見えますが、かつては活動銀河核を持っていたとされています。しかし、時間の経過とともに周囲のガスや塵を吸い尽くし、現在のような静穏な状態になったと考えられています。

つまり、天の川銀河も「大人」になった銀河だといえます。

 

まとめ

クエーサーは、ブラックホールが活発に物質を吸い込み、エネルギーを放出する銀河の進化に深く関わる天体です。これらの現象を理解することで、宇宙全体の成り立ちや銀河の進化に関する新たな視点が得られるでしょう。

 

Source

  • Image Credit: NASA, ESA and J. Olmsted (STScI)
  • NASA - Quasars Rip Across Galaxies Like Tsunamis

文/飯銅重幸 編集/sorae編集部