
クエーサーを持つ銀河のイラスト。中心部にあるクエーサーからジェットが噴き出している。(Image Credit:NASA, ESA and J. Olmsted (STScI))
NASAは12月15日、今日の1枚としてクエーサー(Quasar)を持つ銀河のイラストを公開しました。クエーサーとは、宇宙で最も明るい天体の1つと言われてます。そのクエーサーについて今回はわかりやすく解説していきます。
■ブラックホールとクエーサー
ほとんどの銀河の中心には巨大なブラックホールがあると考えられています。
例えば、私達の太陽系がある天の川銀河の中心にも「いて座A*(いてざえーすたー:Sgr A*)」と呼ばれる超大質量ブラックホールがあると考えられています。
普通のブラックホールの質量は太陽の質量の10倍ほどといわれていますが、この「いて座A*」は太陽の質量の400万倍ほどの質量があると予測されています。銀河の中心にあるブラックホールが、いかに巨大であるか解りますね。
ところで、このように銀河の中心にある巨大なブラックホールのなかには活発に活動しているものがあります。
銀河の中心にある巨大なブラックホールに周りのガスや塵が吸い込まれるときに、ガスや塵は、銀河の中心にある巨大なブラックホールの周りを回りながら、円盤を形成します。この円盤を降着円盤といいます。
降着円盤内では、物質同士の摩擦によって莫大な熱が発生するために、温度が摂氏数百万度以上にもなり、物質がプラズマ化します。そのため、降着円盤からはX線から可視光線、電波にいたるまでさまざまな電磁波が強烈に放射されます。
このように活発に活動している銀河の中心部分を「活動銀河核」といいます。クエーサーはこの活動銀河核の1種だと考えられています。
そして、ときにこの降着円盤の一部が細く絞られたガス流として光速に近い速度で噴き出すことがあります。これが「ジェット」と呼ばれる現象です。冒頭の画像では、銀河の中心にあるクエーサーから銀河の両側にジェットが噴き出しているイメージが描かれています。
このジェットは、銀河の進化に深く関わっていると考えられています。
ジェットによって恒星の原料となる銀河系内のガスが吹き飛ばされ、恒星の誕生が抑制されるのではないかと考えられているからです。
私達の天の川銀河もかつては活動銀河核を持っていたといわれています。しかし、周りのガスや塵を吸い込みつくして、現在のような平穏な状態になったといわれています。
私達の天の川銀河も大人になって落ち着いたというわけです。
Source
- Image Credit: NASA, ESA and J. Olmsted (STScI)
- NASA
文/飯銅重幸