火星・赤道付近のノクティス・ラビリントゥス東端にある崖とその周辺(Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS)

【▲ 火星・赤道付近のノクティス・ラビリントゥス東端にある崖とその周辺(Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS)】

こちらは火星の赤道付近にある「ノクティス・ラビリントゥス(Noctis Labyrinthus)」と呼ばれる地域、その東端の一部を火星の周回軌道上から捉えた画像(疑似カラー)です。

「夜の迷宮(迷路)」を意味するノクティス・ラビリントゥスは、その名が示すように崖に挟まれた谷が複雑に入り組んでいる地域で、長さ約4000kmに及ぶ有名な「マリネリス渓谷(Valles Marineris)」の西隣に位置しています。画像は右やや下が北の方角で、右下に記されたスケールバーは2kmの長さを示しています。

画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、画像の中央を上下に走る崖は過去に起きた地質活動によって形成されました。この地域では地殻を伸長する力が働いたことで地殻の一部が沈み、「地溝」と呼ばれる谷が誕生。沈まずに尾根や高原となった標高が高い「地塁」と呼ばれる部分との境界に、こうした地形が形成されたのだといいます。

地塁と地溝のネットワークで構成されたノクティス・ラビリントゥスは幅約1200kmに渡って広がっており、崖の高さは5kmに達するといいます。

冒頭画像の中央部分を切り出したもの(Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS)

【▲ 冒頭画像の中央部分を切り出したもの(Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS)】

次の画像は中央部分を切り出したものです。地塁と地溝の境界をなす崖の様子や、あちこちに形成された小さなクレーターの存在がわかります。記事に掲載した画像では解像度等の都合もあって判別しづらいものの、ESAによると画像には崖から落ちてきた岩も幾つか捉えられており、斜面には岩が転がり落ちた際に刻まれた痕跡も認められるといいます。

画像は欧州およびロシア共同の火星探査ミッション「エクソマーズ」の周回探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」に搭載されている光学観測装置「CaSSIS」を使って2020年8月3日に撮影されたもので、ESAから「Rolling stones on Mars 」のタイトルで2022年1月14日付で公開されています。

なお、ESAとロスコスモスではエクソマーズミッション2度目の探査機打ち上げを2022年9月に計画しており、定点観測を担う地表プラットフォームの「カザチョク」と探査車(ローバー)の「ロザリンド・フランクリン」が2023年6月に火星へ着陸する予定です。

マリネリス渓谷を中心とした火星の画像。ノクティス・ラビリントゥス(矢印の先)では入り組んだ谷が複雑に広がっている(Credit: NASA/USGS、矢印は筆者による)

【▲ マリネリス渓谷を中心とした火星の画像。ノクティス・ラビリントゥス(矢印の先)では入り組んだ谷が複雑に広がっている(Credit: NASA/USGS、矢印は筆者による)】

 

関連:真っ赤な大地で白い氷を抱くクレーター。欧露の火星探査機「TGO」が撮影

Image Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS
Source: ESA
文/松村武宏