惑星の形成に関する従来の考え方では、小さな恒星ではあまり大きな惑星は形成されないとする考えが主流です。しかし、プリンストン大学のGuðmundur Stefánsson氏などの研究チームが発見した太陽系外惑星「LHS 3154 b」は、その考えに疑問を与える存在となります。LHS 3154 bは小さな恒星に対して大きすぎる惑星で、従来の理論では存在しないはずの惑星であり、LHS 3154 bの発見は惑星形成論に限界があることを示しています。

【▲図1: 惑星LHS 3154 bから恒星LHS 3154を見る様子の芸術的表現。 (Image Credit: Penn State) 】
【▲図1: 惑星LHS 3154 bから恒星LHS 3154を見る様子の芸術的表現(Credit: Penn State)】

■重すぎる太陽系外惑星「LHS 3154 b」

ガスや塵が重力で集まり、中心部で恒星が誕生する現場では、その周りに「原始惑星系円盤」という円盤ができます。この円盤内部でも大きな塊が生じると、やがて惑星となります。

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これまでの惑星科学の研究によれば、質量の大きな恒星を生み出すには質量の大きな原始惑星系円盤が必要であり、かつ質量の大きな原始惑星系円盤からは質量の大きな惑星が形成されやすい、と考えられてきました。つまり、恒星の大きさと惑星の大きさには、ある程度の相関関係があることになります。

しかしStefánsson氏らの研究チームの発見は、これに異を唱えるものとなります。Stefánsson氏らが発見したのは、地球から見て「ヘルクレス座」の方向に約51光年離れた位置にある恒星「LHS 3154」の周りを公転する「LHS 3154 b」です。LHS 3154 bはペンシルベニア州立大学の天文台に設置された分光器「ハビタブル・ゾーン・プラネット・ファインダー (Habitable Zone Planet Finder)」を使用して観測が行われました。

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【▲図2: 惑星LHS 3154 bは地球より大きく、恒星LHS 3154は太陽より小さいため、惑星と恒星の大きさにはあまり差がありません。大きさのスケールは正しいですが、距離のスケールは正しくないことに注意。 (Image Credit: Penn State) 】
【▲図2: 惑星LHS 3154 bは地球より大きく、恒星LHS 3154は太陽より小さいため、惑星と恒星の大きさにはあまり差がありません。大きさのスケールは正しいですが、距離のスケールは正しくないことに注意(Credit: Penn State)】

LHS 3154 bはLHS 3154の周りを約3.72日周期で公転しています。その質量は地球の約13.15倍であり、海王星に匹敵します。しかし、LHS 3154はM型星であり、太陽と比較して直径は約0.14倍、質量は約0.11倍と極めて小さいものです。惑星LHS 3154 bは、恒星LHS 3154に対して約2900分の1の質量しかありません。これは小さな恒星の中では、最も恒星に対する質量比が高い惑星の1つです。

■LHS 3154 bの形成には重すぎる原始惑星系円盤が必要

LHS 3154 bは恒星に対して大きすぎる惑星であり、従来の惑星形成論では説明のつかない存在です。従来の惑星形成論でLHS 3154が持つと予測される原始惑星系円盤の大きさでは、LHS 3154 bのような海王星に匹敵する質量の惑星は形成されません。Stefánsson氏らはシミュレーションを通じて、予想より10倍も重い原始惑星系円盤を仮定しなければ、LHS 3154 bは形成されないと示しました。

これほどの食い違いは、従来の惑星形成論に何か重大な欠陥が存在することを示唆しています。LHS 3154 bの発見は、惑星形成論を改善する上での極端なテストケースの1つになるだろうとStefánsson氏らは考えています。

 

Source

  • Guðmundur Stefánsson, et al. “A Neptune-mass exoplanet in close orbit around a very low-mass star challenges formation models”. (Science)
  • Adrienne Berard. “Discovery of planet too big for its sun throws off solar system formation models”. (The Pennsylvania State University)

文/彩恵りり

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