【▲ 星間空間に到達した惑星探査機「ボイジャー1号」の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

【▲ 星間空間に到達した惑星探査機「ボイジャー1号」の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は8月30日付で、間もなく打ち上げから45周年を迎える惑星探査機「ボイジャー1号」について、機体の状態を示すデータの一部に生じていた問題が解消されたことを発表しました。

日本時間1977年9月5日21時56分に打ち上げられたボイジャー1号は、1979年5月に木星、1980年11月に土星のフライバイ探査を実施。その後は太陽系の外へと向かって飛行を続け、今から10年前の2012年8月には太陽風の影響が及ぶ領域である「太陽圏(ヘリオスフィア)」を離脱し、星間空間に到達したことが確認されています。2022年8月31日時点でボイジャー1号は地球から約235億km(約157天文単位)離れたところにあり、地球との通信は片道だけでも21時間48分13秒を要します。

2022年5月の時点で、ボイジャー1号の「AACS」(Attitude Articulation and Control Subsystem)と呼ばれるサブシステムの状態を示すデータに問題が見つかっていました。AACSはボイジャー1号の姿勢を制御するためのシステムで、遠く離れた地球と通信するのに欠かせない高利得(ハイゲイン)アンテナを地球の方向へ正確に合わせる役割を担っています。JPLによると、AACSは正常に動作していると思われるものの、地球へ送信されたデータにはその状態が反映されておらず、時にはランダムに生成されたように見える場合もあったといいます。

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AACSの状態を示すデータに「文字化け」が生じた理由を探ったJPLの運用チームは、AACSが何年も前に動作を停止したオンボードコンピューターを介してデータを送り始めたために、データが破損したことを突き止めました。正しいコンピューターを介した通信を再開させるためのコマンドがすでに送信されており、ボイジャー1号と2号のプロジェクトマネージャーを務めるJPLのSuzanne Doddさんは「テレメトリが戻ってきて嬉しいです」と語っています。

正常なデータの受信は再開されたものの、なぜAACSが誤ったコンピューターを介してデータを送るようになったのかはまだわかっていません。JPLによると、別のオンボードコンピューターが生成した誤ったコマンドをAACSが受信してしまった可能性もあるようですが、その場合は機体のどこかに問題があることを意味するといいます。

運用チームは根本的な原因を引き続き調査しますが、ボイジャー1号に長期的な影響をもたらすものではないとも考えています。Doddさんは「テレメトリの問題を引き起こした不具合を特定するのに役立てるため、AACSのメモリを完全に読み出して、何が行われたのかをすべて確認します。私たちは用心しつつ楽観視していますが、さらに調査する必要があります」とコメントしています。

 

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Source

  • Image Credit: NASA/JPL-Caltech
  • NASA/JPL - Engineers Solve Data Glitch on NASA’s Voyager 1

文/松村武宏

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