
(引用元:ESO)
今回紹介するのは、からす座の方向約7000万光年先に位置する衝突銀河「アンテナ銀河(NGC 4038/NGC 4039)」です。チリに設置された電波望遠鏡群「ALMA(アルマ望遠鏡)」とハッブル宇宙望遠鏡の観測データを重ね合わせた画像で、2011年10月3日、ALMAの初期科学運用開始に合わせて公開されました。

青と赤が混ざり合う印象的な一枚ですが、画像の色はアンテナ銀河を肉眼で見たときの姿をそのまま再現したものではありません。目には見えない波長の情報も含め、星やガスがどこに広がっているのかを見分けられるように、観測データに色が割り当てられています。
天体画像の色はどう決まるのか
ハッブル宇宙望遠鏡をはじめ、多くの地上・宇宙望遠鏡による可視光や赤外線の観測では、スマートフォンなどのカメラ撮影とは異なり、特定の波長帯だけを通すフィルターを使って画像を取得します。波長帯ごとの画像に色を割り当てて重ね合わせ、1枚のカラー画像に仕上げる方法が広く使われています。

観測する波長によって、若い星や年老いた星、ガスや塵、星が生まれている領域など、捉えやすい対象は異なります。このため、天体画像の色には、それぞれの観測で見えてきた特徴を区別して示す役割があります。また、データの明るさや割り当てた色の重なりによって、さまざまな色合いが生まれます。
今回の画像には、ハッブル宇宙望遠鏡が435nm、550nm、814nmの波長帯で取得したデータが使われています。435nmは青紫色、550nmは緑色付近の可視光、814nmは人の目では見えない近赤外線です。この合成画像では、ハッブルが捉えた若い星々などが主に青系で表現されています。

一方、ALMAが観測したのは、波長2.6mmと870μmのミリ波・サブミリ波です。これらは可視光より1000倍以上波長が長い電波で、人の目では見ることができません。そこで、観測した電波の分布を目で見て分かるように、色を使って表しています。
赤、ピンク、黄色の部分は、一酸化炭素分子が放つミリ波・サブミリ波をALMAが捉えた領域。星の材料となる冷たい水素分子は直接観測しにくいため、同じ分子雲に含まれる一酸化炭素を目印にして、その分布を調べます。つまり、これらの色はガスそのものの見た目ではなく、星の材料となる分子ガスの位置を示しています。
色から見えてくる観測の狙い
天体画像の色は、天体を美しく見せるためだけに付けられているわけではありません。異なる波長の観測データを見分けやすくし、肉眼では捉えられない構造や現象を可視化する役割があります。同じ天体でも、観測する波長や色の割り当て方が変われば、画像から浮かび上がる姿も変わります。
天体画像を目にしたときは、実際に見える色なのか、特定の観測データを示す色なのかを意識してみてください。なぜこの色が使われているのかをたどると、観測データのどこに注目し、何を示そうとした画像なのかが見えてきます。色の意味を知ることで、一枚の画像から読み取れる情報はさらに増えるはずです。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESO - The Antennae Galaxies (eso1137a)
- ESO - The most powerful millimetre/submillimetre-wavelength telescope in the world opens for business and reveals its first image























