広告
広告
ESA木星氷衛星探査機「Juice」が地球スイングバイに成功 最後のスイングバイは2029年1月予定

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の木星氷衛星探査機「Juice(Jupiter Icy Moons Explorer)」が、2026年9月28日に地球でスイングバイ(天体の重力を利用して探査機の軌道を変える方法)を実施しました。ESAによると、Juiceはわずかな推進剤の消費だけで軌道を変更できたといいます。

Juiceとは

2023年4月に探査機が打ち上げられたJuiceはヨーロッパ初の木星系探査ミッションで、日本語では「木星氷衛星探査計画」と呼ばれています。ミッションにはJAXA(宇宙航空研究開発機構)、NASA(アメリカ航空宇宙局)、ISA(イスラエル宇宙局)も参加して観測機器を提供しています。

木星の衛星Ganymede(ガニメデ)をフライバイするESAの木星氷衛星探査機「Juice」のCGイメージ(Credit: ESA (acknowledgement: ATG Medialab))
【▲ 木星の衛星Ganymede(ガニメデ)をフライバイするESAの木星氷衛星探査機「Juice」のCGイメージ(Credit: ESA (acknowledgement: ATG Medialab))】

2031年7月に木星系へ到着する予定のJuice探査機は、木星を周回しつつEuropa(エウロパ)、Ganymede(ガニメデ)、Callisto(カリスト)の3つの衛星をフライバイ観測し、2034年12月以降はガニメデの周回軌道に入って観測を行う計画です。

ESAによれば、木星へ直接向かうには膨大な推進剤が必要となるため、Juiceは地球(月を含む)と金星で合計4回のスイングバイを重ねて少しずつ軌道を変えています。今回実施されたのは3回目(地球単独では2回目)のスイングバイとなります。

地球の重力を利用して進路と速度を変更

Juiceは日本時間2026年9月28日20時45分に、インド洋上空の高度8640kmで地球に最接近しました。ESAによると、Juiceの進行方向は通過前と比べて約20度変わり、速度は毎秒約3.5km増加しました。

最接近後の日本時間同日20時56分には、探査機の各部を監視するための「モニタリングカメラ1(JMC1)」で地球が撮影されました。次に掲載するのがその画像で、右上に地球が写っています。アフリカ大陸の右側にはマダガスカル島が見えており、地球のさらに右には小さな灰色の点として月も写っています。

地球スイングバイ時にJuiceのモニタリングカメラ1(JMC1)で撮影された地球。小さな点として月も写っている。日本時間2026年9月28日20時56分撮影(Credit: ESA/Juice/JMC)
【▲ 地球スイングバイ時にJuiceのモニタリングカメラ1(JMC1)で撮影された地球。小さな点として月も写っている。日本時間2026年9月28日20時56分撮影(Credit: ESA/Juice/JMC)】

ESAによれば、スイングバイまでの4週間に用意された6回の軌道修正の機会のうち、実際に必要だったのは小さな修正1回だけだったといい、効率的に軌道を変更することができました。

Juiceの探査機運用マネージャーを務めるESAのAngela Dietz氏は「今回のフライバイでは、リアルタイムでの極めて精密な航法が求められました。非常に入念な計画のおかげで、このフライバイのために確保していた推進剤のうち、使用したのはわずかな量だけで済みました。これにより、木星で氷衛星の観測に使える推進剤が増えることになります」と述べています。

磁気圏尾部などで観測機器を試験

また、今回のスイングバイは、Juiceに搭載された10台の観測機器をテストする機会でもありました。なかでも注目されるのが、地球の磁場のうち太陽と反対側へ長く伸びた「磁気圏尾部」の観測です。Juiceはこの領域を数日間飛行し、磁場や荷電粒子を測定しました。

Juiceによる磁気圏尾部の観測と同じ頃、ESAとCAS(中国科学院)の共同ミッション「Smile」の衛星が、オーロラや地球近くの磁場・粒子を観測していました。ESAによると、両者の観測は遠く離れた磁気圏尾部の活動と地球の極域で起きている現象を結びつける、格好の機会になったといいます。

2029年に最後の地球スイングバイへ

打ち上げから8年以上にわたる木星系への長い旅、その期間はまだ半分以上が残っています。今回の地球スイングバイを終えたJuiceは、2029年1月に最後のスイングバイとして地球スイングバイを行い、その後は一路木星へと向かう予定です。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

関連記事

参考文献・出典