
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した銀河団「Abell 3322(エイベル3322)」。がか座の方向、地球から約26億光年先にあります。

画像中央の明るい銀河は「2MASX J05101744-4519179」というカタログ名で呼ばれています。そのすぐ左下にある銀河と、やや離れたところにある右上の銀河、これら3つの巨大で明るい銀河が一直線状に並んでいるのがわかります。
銀河団どうしの衝突を示す銀河の並び
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、この銀河の並び方は観測されているAbell 3322が形成過程にあることを示唆しており、少なくとも2つの小さな銀河団が衝突していることが考えられるといいます。
ところが、Abell 3322全体に広がる高温ガス(※X線で観測される)は、3つの明るい銀河のように直線状には分布していないのだといいます。高温ガスはほぼ球状に広がっており、衝突している各銀河団ごとに密集している様子もみられません。
こうした分布の不一致は、銀河、ガス、ダークマター(暗黒物質)、それに銀河団の衝突といった要素の間にみられる挙動の違いを理解しようとする研究者にとって興味深いものだといいます。
重力レンズ効果を利用した遠方銀河の観測に備える
また、数多くの銀河が集まる銀河団は、その膨大な質量によって重力レンズ効果をもたらします。重力レンズ効果とは、手前にある天体の大きな質量によって周囲の時空間がゆがみ、その背後にある遠方の天体から発せられた光の経路が曲げられることで、遠方天体の像がゆがんだり拡大して見えたりする現象のことです。
本来であれば観測が困難なほど遠方にある銀河の様子も重力レンズ効果を利用すれば詳しく調べることができるため、重力レンズ効果をもたらす銀河団のような天体の位置をあらかじめ把握しておくことも重要な取り組みです。
冒頭の画像はESA/Hubbleから2023年8月14日付で公開されました。
本記事は2023年8月15日公開の記事を再構成したものです。
編注:記事中の距離は、天体から発した光が地球で観測されるまでに移動した距離を示す「光路距離」(光行距離)で表記しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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