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若き天の川銀河が別の銀河と合体していた新たな証拠を発見 鍵は銀河中心付近の球状星団

ボローニャ天体物理学・宇宙科学天文台のDavide Massari氏を筆頭とする研究チームは、天の川銀河が誕生してからそれほど時間が経っていない時期に、非常に大きな矮小銀河と合体していたことを示す新たな証拠を発見したとする研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「Nature Astronomy」に掲載されています。

矮小銀河「Low-energy-Kraken-Heracles」(LKH、左)と合体しつつある天の川銀河(右)を描いた想像図(Credit: NASA, ESA, Joseph Olmsted (STScI))
【▲ 矮小銀河「Low-energy-Kraken-Heracles」(LKH、左)と合体しつつある天の川銀河(右)を描いた想像図(Credit: NASA, ESA, Joseph Olmsted (STScI))】

合体を繰り返して成長してきた天の川銀河

現在の宇宙にみられる巨大な銀河は、別の銀河との衝突・合体を通じて成長してきたと考えられています。天の川銀河の場合、少なくとも2回の大規模な合体を経験してきたことが、これまでの研究で判明しています。

ひとつは、60億年以上前に始まり、現在も継続中と考えられている「いて座矮小銀河」との合体です。もうひとつは、約105億年前(※)に起きたと考えられている「ガイア・ソーセージ・エンケラドス(GSE)」と呼ばれる矮小銀河との合体で、天の川銀河の円盤構造に大きな影響を与えたとみられています。また、この間に当たる時期にも、いくつかの小規模な合体が起きたと推定されています。

※…Massari氏らの論文から。なお、今回の研究成果を紹介したNASA(アメリカ航空宇宙局)やESA(ヨーロッパ宇宙機関)のプレスリリースでは「約100億年前」としています。

球状星団が語る第三の大規模な合体

研究チームは今回、天の川銀河の中心部から半径2万光年ほどの範囲にある39個の球状星団を対象に、ハッブル(Hubble)宇宙望遠鏡の観測データを用いて年齢と金属量(水素やヘリウムよりも重い元素の含有量)を高い精度で調べました。このうち17個は、今回新たに測定が行われた球状星団です。

得られたデータを統計的に分析した結果、天の川銀河そのもので生まれた星団のグループと、GSEに由来する星団のグループに加えて、どちらのグループとも異なる傾向を示す“第三のグループ”が存在することが明らかになりました。

研究チームによると、第三のグループに含まれる12個の星団はいずれも天の川銀河の中心付近に集中しており、GSEとの合体よりも18億年前、今から約123億年前に起きた別の合体の痕跡だと考えられています。

研究チームは過去に発表されていた3つの先行研究にちなみ、この矮小銀河を「Low-energy-Kraken-Heracles(LKH)」と名付けました。天の川銀河に取り込まれたLKHの質量は、GSEに匹敵する太陽の約5億倍と推定されています。また、合体時の質量比はGSEとの合体時よりも高かったとみられています。

天の川銀河の“建設”の歴史に迫る

今回の成果は、天の川銀河の成り立ちを巡る長年の謎を解く鍵になるものとして注目されています。Massari氏は「私たちの故郷は天の川銀河ですが、私たちの“家”がどのように建てられたのかはわかっていません」「今回の論文では、最初の重要な構成要素がどこから来たのかを明らかにしました。それがLKHです」と述べています。

研究チームは今後も球状星団の観測を続けることで、天の川銀河が経験してきた大規模な合体をより詳しく特定していく計画だということです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典