
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した、くじゃく座のレンズ状銀河「NGC 6684」です。

淡い楕円形をした明るい中心部、その周囲を同じように淡い光のリングが取り巻いています。画像に向かって中心部の上下にはリングとの間に暗い弧状の領域が見えており、全体ではぼんやりと輝く記号のようにも見えます。
渦巻腕を持たない淡い銀河
レンズ状銀河は渦巻銀河と楕円銀河の中間にあたる形態の銀河です。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、大きな円盤を持つ一方で、目立つ渦巻腕(渦状腕)は持ちません。
NGC 6684の場合は暗い塵(ダスト)の帯であるダストレーンも持たず、実体のない幻のような印象を強く受けます。ESAはその様子を幽霊に例えており、この画像には「Portrait of a Ghostly Galactic Peacock(幽霊のような銀河の孔雀の肖像)」というタイトルを付けています。
淡い姿の内側に潜む構造
そんなNGC 6684ですが、内部には複雑な構造が隠されているようです。
62個のレンズ状銀河の構造を調べた2018年発表の研究では、棒渦巻銀河のような棒状構造をはじめ、内側のリング、それに外側のリング(もしくはレンズ状構造)が存在するとされています。さらに、大きな棒状構造に対してほぼ垂直の小さな棒状構造も、中心部に埋め込まれているといいます。
滑らかで淡いその姿に棒状構造やリングを重ね持つNGC 6684は、近傍の銀河が持つ多様な形態を物語る一例と言えるでしょう。
近傍銀河の調査で得られた画像
ESAによると、この画像は近傍の宇宙に存在する銀河を対象とした調査「Every Known Nearby Galaxy」の一環として取得したデータを使って作成されました。この調査は地球から10メガパーセク(約3260万光年)以内の銀河のうち、ハッブル宇宙望遠鏡がまだ観測していなかったものすべての観測を目指して計画されたものです。
なお、NGC 6684までの距離は推定方法によって幅があります。ESAは約4400万光年としていますが、2023年に公開された論文では、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データをもとに約10.2メガパーセク(約3327万光年)と見積もられました。これは、上記の調査における対象範囲の限界とほぼ同じ値です。
冒頭の画像はESA/Hubbleから2023年8月7日付で公開されました。
本記事は2023年8月10日公開の記事を再構成したものです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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