
(引用元:NASA)
こちらは、NASAの惑星探査機「ボイジャー1号」が、約60億km離れた場所から撮影した地球です。画像の中央よりやや右、斜めに伸びる光の帯の中に、小さな点が見えるでしょうか。この点が、私たちの暮らす地球です。

「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot:淡い青い点)」として知られるこの画像は、1990年2月14日に撮影されました。今回紹介するのは、撮影から30周年を迎えた2020年に、当時の撮影チームの意図を尊重しつつ、もとの撮影データを現代の画像処理技術で再処理したものです。
地球に重なる光の帯は、宇宙空間に実在する光の筋ではなく、カメラ内部で太陽光が散乱したことで生じています。
遠い宇宙から地球を撮る セーガンの提案
この撮影を提案したのは、天文学者のカール・セーガン(Carl Sagan)です。11月9日は、そのセーガンの誕生日にあたります。1934年にニューヨークで生まれたセーガンは、惑星探査に携わる一方、著書やテレビ番組『コスモス』などを通じて、多くの人に宇宙の姿を伝えました。
セーガンはボイジャー計画の撮像チームの一員として、探査機が撮影した画像をもとに惑星などの研究に携わっていました。1981年には、ボイジャーのカメラを地球に向け、遠くから故郷を撮影することを提案しています。地球の細かな姿を調べるためではなく、宇宙の中で地球がいかに小さく、かけがえのない存在なのかを示すための撮影でした。
その構想は、ボイジャー1号にとって最後となる撮影で実現しました。1990年2月、ボイジャー1号は合計60枚の画像を撮影し、地球を含む6つの惑星と太陽を記録しました(水星は太陽に近すぎたため、火星はカメラ内で散乱した太陽光に隠れたため写っていません)。この一連の画像は「太陽系の家族写真(Family Portrait of the Solar System)」と呼ばれています。
撮影後、今後の探査に必要な電力を節約するため、カメラの電源は切られ、再び使われることはありませんでした。

この小さな点が、私たちの故郷
セーガンは1994年の著書『Pale Blue Dot(邦題:惑星へ)』で、この地球について次のように記しています。
「もう一度、あの点を見てください。あれが、ここなのです。あれが、私たちの故郷なのです。あれが、私たちなのです。」(一部抜粋、編集部訳)
さらにセーガンは、この小さな世界を遠くから捉えた画像は、人々が互いに思いやりを持って接し、私たちの唯一の故郷を守り、大切にする責任を思い起こさせるものだと説きました。
この画像では、大陸も海も、国境も見分けられません。それでも、この点の中に、私たちの暮らしがあります。セーガンの誕生日にあらためて眺めると、遠い宇宙の写真が、身近な人や日々の暮らしを見つめ直すきっかけになるかもしれません。
編集/sorae編集部









