こちらは、NASA(アメリカ航空宇宙局)が開発中の赤外線宇宙望遠鏡「NEOサーベイヤー(NEO Surveyor)」の「サンシェード(日よけ)」を、技術者が点検している様子です。

画像に向かって左上を斜めに占めているのがサンシェードで、表面に並ぶ紫がかった小さな板が太陽電池セルです。2026年7月下旬にアメリカ・コロラド州ボールダーにあるBAE Systems Space & Mission Systemsのクリーンルームで撮影されました。
NASAは2026年10月26日付で、このサンシェードへの太陽電池の組み込みと、太陽電池の機能・性能試験が完了したと発表しました。小惑星を探す宇宙望遠鏡に、どうして長さ約6mもの日よけが必要なのでしょうか?
太陽に近い方向を観測する理由
NASAによると、NEOサーベイヤーは「地球近傍天体」(Near Earth Object: NEO、地球の公転軌道の近くを通る小惑星や彗星の総称)のうち、地球に衝突するおそれのあるものを探すために設計された初めての宇宙望遠鏡です。
地球近傍天体のなかでも地球に衝突する可能性が最も高いものは地球の公転軌道に似た円に近い軌道を公転しており、太陽に近い方向で見つかりやすいといいます。そこでNEOサーベイヤーは、地球に似た軌道の小惑星を効率よく探すため、太陽から45度の方向まで観測できるように設計されています。
太陽光を遮る日よけが探査機の電源も兼ねる

太陽に近い方向へ望遠鏡を向けるうえで重要な要素となるのが、冒頭のサンシェードです。NASAによると、太陽から45度の方向を向いても望遠鏡に太陽光が入らないように、サンシェードは十分な大きさが確保されています。
このサンシェードは、望遠鏡や観測機器の温度を低温に保つ役割も担います。NEOサーベイヤーは太陽光で温められた小惑星や彗星が放つ赤外線をとらえるため、望遠鏡自身の熱が観測の妨げになってしまうからです。
NASAによれば、望遠鏡や観測機器を収めた構造物を太陽から見てサンシェードの裏側になるよう配置することに加えて、地球から離れた位置で観測を行うなどの対策を講じることで、冷却剤や冷凍機に頼らなくて済むといいます。
また、太陽光を受けるサンシェードの表側には、最大2kWの電力を供給する864個の太陽電池セルが取り付けられます。サンシェードは太陽光を遮りつつ、電源も兼ねる構造になっているのです。
NASAによると、NEOサーベイヤーの打ち上げは2027年9月以降の予定です。ミッション期間は5年間以上で、衝突すれば地上に大きな被害をもたらし得る直径140m以上の地球近傍天体のうち少なくとも3分の2を見つけることを目指すということです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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