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マサチューセッツ工科大学ヘイスタック観測所のLynn Matthews氏を筆頭とする研究チームは、オリオン座の赤色超巨星「ベテルギウス(Betelgeuse)」の電波による観測データをもとに、近年その証拠が相次ぎ見つかっている伴星がベテルギウスの大気をかき乱している可能性を示した研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「The Astronomical Journal」に掲載されています。

ベテルギウスとその大気の中を公転する伴星シワルハを描いたイラスト(Credit: NSF/AUI/NSF NRAO/M. Weiss)
【▲ ベテルギウスとその大気の中を公転する伴星シワルハを描いたイラスト(Credit: NSF/AUI/NSF NRAO/M. Weiss)】

近年発見が報告された伴星「シワルハ」

一等星のベテルギウスは変光星のひとつとしても知られていますが、主な変光周期(従来は約400日、2019〜2020年の大幅な減光の後はその半分の約200日)とは別に、約6年(約2100日)という長い周期の変化も生じていることがわかっています。

2024年に発表された研究では、この長い周期の変光の原因として伴星の存在が提唱されており、その後の観測でも伴星の存在を支持する結果が得られています。「シワルハ(Siwarha)」と名付けられたこの伴星は、ベテルギウスの半径(中心から表面までの距離)と比べて約2.3倍の軌道で公転しているとみられています。

今回、研究チームは「VLA(Very Large Array=超大型干渉電波望遠鏡群)」と「アルマ望遠鏡(ALMA)」によるベテルギウスの電波観測を行いました。シワルハからの電波は弱すぎるとみられ、今回の観測では直接検出できなかったため、研究チームはベテルギウスの大気の形に着目しています。

伴星の位置に応じて大気の形が変わる?

今回と過去の電波観測で測定されたベテルギウスの大気のゆがみを、別の研究で予測されたシワルハの位置と比べたところ、地球から見たベテルギウスの大気はシワルハが最も離れて見える時期には細長い楕円形に、シワルハがベテルギウスの手前側や奥側を通過する時期には真円に近づく傾向がみられたといいます。

研究チームによると、シワルハが手前を通過した直後とみられる2023年9月に取得されたVLAの観測データでは、楕円形にゆがんだ大気の短径は長径よりも約3%短いだけでした。一方、シワルハが最も離れて見える時期に近いとみられる2024年10月には、約10%短くなっていたといいます。

また、観測データを分析した結果、ベテルギウスの大気は少なくとも半径の約2.6倍まで広がっていることもわかりました。つまり、シワルハはベテルギウスの大気の中を公転していることになります。研究チームは、ベテルギウスの恒星風(恒星からのガスの流れ)が吹き出し始める領域の近くを公転するシワルハが、ベテルギウスの大気の構造や密度を形作っている可能性があると指摘しています。

赤色超巨星の晩年を探る手がかりに

今回の成果について研究チームは、シワルハがベテルギウスの大気の密度や構造などに大きな影響を与えている可能性を示唆するものだと述べています。ただし、この解釈を確かめるには、シワルハの軌道のさらに広い範囲をカバーする追加観測が必要だとも述べています。

電波で捉えられたベテルギウスのわずかなゆがみは、伴星の存在を裏付けるとともに、晩年の赤色超巨星が物質を失う過程と伴星との関わりを読み解く手がかりにもなりそうです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典