
(引用元:NASA)
こちらは、チリのパラナル天文台にあるESO(ヨーロッパ南天天文台)の超大型望遠鏡「VLT」が捉えた海王星です。地上からの撮影でありながら、ハッブル宇宙望遠鏡に匹敵する鮮明さで、帯状の模様や明るい部分が浮かび上がっています。
画像は、観測装置「MUSE」と大気の揺らぎを補正する装置を組み合わせた2018年6月の試験観測で取得され、同年7月18日に公開されました。

計算で位置を予測し、望遠鏡で発見
海王星が発見されたのは、ベルリンの現地時間で1846年9月23日から24日にかけての夜。現在の日本標準時に換算すると9月24日にあたります。その発見も、地上の望遠鏡による観測からもたらされました。
手がかりになったのは、海王星よりも内側を公転する天王星の動きです。当時の天文学者たちは、天王星の観測された位置と計算上の位置が一致しないことに気付いていました。未知の惑星の重力が、その動きに影響しているのではないかと考えられたのです。
フランスの天文学者ユルバン・ルヴェリエは、この未知の惑星があるはずの位置を計算しました。その予測をもとにベルリン天文台のヨハン・ガレが望遠鏡を向けたところ、計算された位置から約1度のところに海王星が見つかりました。
天体の動きから存在と位置が予測され、望遠鏡による観測で発見された海王星。2026年9月、この発見から180年を迎えました。
地上から鮮明に捉える技術「補償光学」
冒頭で紹介した画像には、地上から遠い天体の姿を鮮明に捉えるための「補償光学」という技術が使われています。地球の大気は絶えず揺らいでおり、通過する光が乱されることで天体の像がぼやけます。補償光学は、この乱れに合わせて鏡の形を細かく変え、像のぼやけを補正する仕組みです。
この観測に使われたVLTの補償光学システムでは、レーザーを上空に照射し、大気中のナトリウム原子を光らせて「レーザーガイド星」と呼ばれる人工の星を作ります。その光が大気を通る際に受ける乱れを測定し、毎秒1000回の頻度で必要な補正を計算。望遠鏡の鏡の形を細かく調整することで、鮮明な像を得ています。
180年前、計算が示した空の一角で見つかった海王星。その遠い惑星の大気の模様まで、地上から捉えられるようになりました。これからの観測技術の進歩は、海王星のどのような姿を明らかにしてくれるのでしょうか。
編集/sorae編集部
関連記事
- 地上からの撮影なのにハッブル並みに鮮明。「補償光学」を用いた海王星画像
- タランチュラ星雲が輝く天空へ向けて照射された4本のレーザービーム ESOの天文台で撮影
- 超大型望遠鏡VLTで撮影された木星の衛星「エウロパ」と「ガニメデ」
参考文献・出典
- ESO - Neptune from the VLT with MUSE/GALACSI Narrow Field Mode adaptive optics(eso1824a)
- ESO - Supersharp Images from New VLT Adaptive Optics(eso1824)
- NASA - 175 Years Ago: Astronomers Discover Neptune, the Eighth Planet
- AIP - Neptune closer than ever: Super Sharp Pictures from the Edge of our Solar System










