
こちらは、セロ・トロロ汎米天文台(チリ)のブランコ4m望遠鏡で観測した「みなみのかんむり座分子雲(Corona Australis Molecular Cloud)」周辺の様子。みなみのかんむり座の方向、地球から約430光年先にあります。

うねるような青やベージュのガス雲に、背後の光をさえぎる暗い塵(ダスト)の帯、そして散りばめられた星々の輝きが織りなす光景が、視野全体に広がっています。画像を公開したNOIRLab(アメリカ国立光学・赤外天文学研究所)は、フィンセント・ファン・ゴッホの絵画「星月夜」を彷彿とさせると表現しています。
地球に身近な“星のゆりかご”
視野の左半分を占めるみなみのかんむり座分子雲は、NOIRLabによれば地球に最も近い星形成領域のひとつです。これまでの研究によると、分子雲の中心部では過去数十万年から数百万年にわたって活発な星形成活動が起きており、現在も新たな星が生み出されているといいます。
画像の左端近くでオレンジ色に輝く雲の中には、若い連星である「みなみのかんむり座R星(R Coronae Australis)」が潜んでいます。NOIRLabによると、主星は中心部でまだ核融合反応が始まっていない前主系列星(ハービッグAe/Be型星)で、伴星は赤色矮星であることが判明しています。2つの星は43年~47年周期で互いに公転し合っているといいます。
色彩豊かな星雲と遠方で輝く星団
若い星が放つ強烈な光は、周囲の宇宙空間を色鮮やかに染め上げます。画像左側の白や青で輝いている領域は、「NGC 6726」「NGC 6727」「IC 4812」といった、塵が光を反射することで輝く反射星雲です。また、みなみのかんむり座R星の近くにある「NGC 6729」では、強力な紫外線によって電離した水素ガスが赤い光を放つ輝線星雲と、反射星雲が重なり合っています。
こうした数々の星雲とは対照的に、画像右側では無数の星々が集まった球状星団「NGC 6723」が輝いています。左側のみなみのかんむり座分子雲と隣り合っているように見えますが、この星団は分子雲よりもずっと遠い約2万9000光年先に位置しています。特徴の異なる2つの天体が、地球からは偶然隣り合って見える位置関係にあることで、興味深い構図を生み出しています。

なお、この画像はブランコ4m望遠鏡の「DECam(ダークエネルギーカメラ)」で取得したデータを使って作成されました。DECamは画素数約520メガピクセル、満月約14個分の広さ(3平方度)を1回の観測で捉えることが可能で、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発された観測装置です。
DECamで取得した観測データは、星の誕生と進化のメカニズムを紐解く研究でも重要な手がかりとして活用されています。
冒頭の画像はNOIRLabから2026年7月16日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- NOIRLab - The Starry Night Redux
- Wang et al. - Optical Outflows in the R Coronae Australis Molecular Cloud (The Astrophysical Journal)























