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JAXAが台風で延期した「H3」ロケット9号機の打ち上げ日を再設定 「みちびき」7号機を搭載

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年8月7日、内閣府の準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」の測位衛星「みちびき」7号機(QZS-7)を搭載する「H3」ロケット9号機の再設定された打ち上げ予定日を発表しました。

2025年2月に打ち上げられた「みちびき」6号機搭載の「H3」ロケット5号機(Credit: JAXA)
【▲ 2025年2月に打ち上げられた「みちびき」6号機搭載の「H3」ロケット5号機(Credit: JAXA)】

H3ロケット9号機の新たな打ち上げ予定日・時間帯は、日本時間2026年8月10日4時00分~5時30分です。打ち上げ予備期間は、2026年8月11日~2026年8月31日および2026年9月3日~2026年9月30日が確保されています。

9号機の打ち上げは直近では2026年8月7日に予定されていましたが、台風の接近にともなって天候の悪化が予想されたことから、4日前の8月3日に延期が発表されていました。

みちびきの7号機打ち上げと今後の見通し

「みちびき」はアメリカの「GPS」との互換性を確保した日本の衛星測位システムです。これまでは4機体制で運用されてきましたが、内閣府は測位精度のさらなる向上と「みちびき」のみでの持続的な測位を実現するべく、将来的には11機体制で運用することを目指しています。

2025年2月にH3ロケット5号機で打ち上げられた「みちびき」6号機は静止軌道に投入されましたが、今回打ち上げられる「みちびき」7号機は準静止軌道(※)に投入される予定です。

※…静止軌道ではゼロになっている軌道傾斜角と軌道離心率が、少しだけ与えられた軌道。地上からはわずかに動くように見える。

三菱電機鎌倉製作所で公開された測位衛星「みちびき」7号機(QZS-7)。2025年12月1日撮影(Credit: sorae編集部)
【▲ 三菱電機鎌倉製作所で公開された測位衛星「みちびき」7号機(QZS-7)。2025年12月1日撮影(Credit: sorae編集部)】

2026年8月5日にはJAXAや内閣府などの担当者が登壇した打ち上げ前ブリーフィングが開催され、今後の「みちびき」全体の見通しも示されました。

「みちびき」を巡っては、2025年12月にH3ロケット8号機の打ち上げが失敗し、搭載されていた「みちびき」5号機が失われました。打ち上げ失敗の原因究明を進めたJAXAは、衛星搭載アダプタ(衛星をロケットに搭載するための部品のひとつ)に生じた損傷が主な要因となって、衛星の脱落やロケット2段目エンジンの燃焼異常に至った可能性が高いとしています。

今回の9号機で打ち上げられる「みちびき」7号機の準静止軌道投入が成功しても、当初計画されていた7機体制からは1機不足した6機での運用となります。内閣府の担当者は、7機体制と比較してカバーエリアの縮小や日本国内(特に北部)で測位精度の低下が生じるものの、準天頂軌道を周回する衛星の配置を見直すことで、6機運用でも一定の精度向上を図れるとしています。

「みちびき」の配置計画と測位精度を示した図。左:当初予定されていた7機体制、中央:7号機軌道投入成功後の6機運用、右:7号機軌道投入成功および準天頂軌道の衛星再配置後の6機運用。衛星の再配置を行うことで、6機でも北海道などでの測位精度が向上することがわかる。2026年8月5日に開催された記者説明会の配布資料から引用(Credit: 内閣府宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室)
【▲ 「みちびき」の配置計画と測位精度を示した図。左:当初予定されていた7機体制、中央:7号機軌道投入成功後の6機運用、右:7号機軌道投入成功および準天頂軌道の衛星再配置後の6機運用。衛星の再配置を行うことで、6機でも北海道などでの測位精度が向上することがわかる。2026年8月5日に開催された記者説明会の配布資料から引用(Credit: 内閣府宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室)】

「みちびき」の11機体制が実現すれば、衛星が1機故障しても他国の衛星測位システムに頼ることなく「みちびき」のみでの測位を維持できる他に、東南アジアやオセアニアへの提供エリア拡大も見込まれます。こうしたメリットを背景に、経団連、自動車メーカー、インフラ関連企業といった産業界からも、11機体制の実現に対する強い要望が寄せられているといいます。

内閣府は今後、「みちびき」のみでの持続的な測位を可能にする7機体制の早期構築と、11機体制へ向けた開発の加速に引き続き取り組む方針です。

H3ロケットの本格的な飛行再開へ

また、8号機の打ち上げ失敗によって停止していたH3ロケットの飛行再開は、2026年6月に打ち上げられた6号機で果たされました。ただ、6号機は固体燃料ロケットブースターを使用しない「H3-30S」形態(30形態)の試験機として性能確認用ペイロードを搭載していた(この他に6機の小型副衛星を搭載)ことに加えて、8号機の打ち上げ失敗原因究明の評価を行うために補修した衛星搭載アダプタが使用されていました。

2026年6月に打ち上げられた「H3」ロケット6号機(Credit: JAXA)
【▲ 2026年6月に打ち上げられた「H3」ロケット6号機(Credit: JAXA)】

9号機では製造方法を変更した衛星搭載アダプタが使用されることから、原因究明を経て対策が施された機体による大型の実用衛星の打ち上げとしては、今回が最初の飛行だと言えます。H3ロケットの本格的な飛行再開と「みちびき」の軌道投入再開を担う9号機の打ち上げに注目です。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典