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シカゴ大学のBrandon Park Coy氏を筆頭とする研究チームは、ジェームズ・ウェッブ(James Webb)宇宙望遠鏡を用いた観測の結果、恒星の近くを公転する太陽系外惑星「HD 3167 b」に大気が存在する証拠を得たとする研究成果を発表しました。

研究チームによると、大気の証拠が得られた溶岩惑星(※)のうち、HD 3167 bは2026年7月時点で恒星から受ける放射が最も弱い例だとされています。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されています。

※…主星である恒星のすぐ近くを公転し、昼側では岩石が溶けるほど高温になっているとみられる小型の岩石惑星。

恒星の近くを公転する高温の岩石惑星を描いた想像図(Credit: ESO/L. Calçada)
【▲ 恒星の近くを公転する高温の岩石惑星を描いた想像図(Credit: ESO/L. Calçada)】

ウェッブの観測データは大気の存在を示唆

HD 3167 bは、うお座の方向、約154光年先の恒星「HD 3167」を約0.96日周期で公転しています。研究チームは今回、ウェッブ宇宙望遠鏡の観測装置「MIRI(中間赤外線観測装置)」を使用して、2025年6月25日にHD 3167 bの「二次食」を観測しました。

二次食とは、観測者から見て惑星が恒星の背後に隠れる現象のことです。惑星が隠れる直前の光には「恒星からの光」と「惑星からの光」が両方とも含まれています。ここから惑星が隠れている間に得られる「恒星からの光」を差し引くことで、本来なら恒星がまぶしすぎて見えない「惑星からの光」だけを取り出すことができるのです。

MIRIの分光モード(電磁波の波長ごとの強さの分布であるスペクトルを得る観測モード)で二次食を観測した結果、食の間に減少した光の割合は、HD 3167 bが大気を持たないと仮定した場合の予測値に対して誤差では説明できないほど小さいことが明らかになりました。つまり、HD 3167 bには大気が存在する可能性があるのです。

昼側の温度が予想よりも低い理由は?

研究チームによると、恒星の光をすべて吸収すると仮定した場合、HD 3167 bの恒星直下点(惑星で最も恒星に近い地点)の温度は約2500ケルビン(約2230℃)と推定されています。ところが、ウェッブ宇宙望遠鏡の観測結果をもとに算出したHD 3167 bの昼側の温度は約1300ケルビン(約1030℃)でした。

Coy氏によれば、大気が存在しない場合の昼側の温度は表面の反射率と恒星からの距離に左右されて理論上の最高温度に達しますが、大気が存在する場合は循環によって夜側にも熱が運ばれます。また、反射率の高い雲が昼側の温度を低くしている可能性もあるといいます。

今回の研究ではHD 3167 bの大気組成までは特定されておらず、研究チームはウェッブ宇宙望遠鏡の別の観測装置「NIRSpec(近赤外線分光器)」による追加観測の必要性に言及しています。論文では、二次食を5回(合計で約24時間)観測することで、水蒸気と二酸化炭素のどちらが豊富な大気なのかを区別できる可能性が示されています。

Coy氏は「私たちがこうした惑星を調べたいと思うのは、初期の地球が溶岩惑星によく似た姿だったかもしれないと考えているからです」と述べています。HD 3167 bのような溶岩惑星の観測を通じて、太古の地球を理解する手がかりが得られることが期待されます。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典