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NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年9月24日付で、金星探査ミッション「DAVINCI」(Deep Atmosphere Venus Investigation of Noble gases, Chemistry, and Imagingの略)で金星の大気を降下するプローブについて、過酷な金星の高温に耐えられることをエンジニアリングモデル(設計の検証に使う試験機)で確認したと発表しました。

灼熱の金星大気を降下するプローブ

2021年6月に採択された「DAVINCI」ミッションでは、探査機本体から分離したプローブが金星の大気圏に突入し、高温の大気を1時間近くかけて降下しながらデータを集めます。NASAによると、かつての金星が地球のように海を持ち、生命が存続し得る環境だったのかどうかを含む、数多くの謎に迫るミッションです。

金星の大気を降下するプローブを描いたDAVINCIミッションのイメージイラスト(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)
【▲ 金星の大気を降下するプローブを描いたDAVINCIミッションのイメージイラスト(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)】

【▲ DAVINCIミッションの概要を解説した動画(英語)。2023年3月公開(Credit: NASA's Goddard Space Flight Center)】

プローブは直径約1メートル(約3フィート)の球形で、チタン製の外殻に覆われており、大気中のガスの分子や大気の構造を調べる観測機器と、これまでで最高解像度の金星表面の画像を取得するカメラを備えます。プローブは降下中に1時間足らずで最高465℃(華氏869度)まで加熱されるといい、熱への備えが欠かせません。

DAVINCIミッションでプローブのマネージャーを務めるNASAゴダード宇宙飛行センターのKristen Brown氏は、観測対象である大気を内部に取り込みつつ、機器を強烈な熱から保護する仕組みを作成する必要があったと難しさを語っています。

試験機が6回の加熱試験を乗り越える

プローブの試験はアメリカ・ペンシルベニア州ベッドフォードの熱処理会社Rex Heat Treatの炉を利用して、2026年8月28日から9月10日にかけて実施されました。NASAによれば、実際に経験するのと同じペースで金星に近い高温までプローブを加熱できる数少ない施設のひとつを同社は保有しているといいます。

耐熱試験で使用されたDAVINCIミッションのプローブ試験機(Credit: NASA/Mike Guinto)
【▲ 耐熱試験で使用されたDAVINCIミッションのプローブ試験機(Credit: NASA/Mike Guinto)】
耐熱試験を行うため炉内に運び込まれるDAVINCIミッションのプローブ試験機(Credit: NASA/Mike Guinto)
【▲ 耐熱試験を行うため炉内に運び込まれるDAVINCIミッションのプローブ試験機(Credit: NASA/Mike Guinto)】

チームはプローブの試験機をおよそ1時間かけて465℃まで加熱する試験を6回実施しましたが、6回とも損傷することなく乗り切ることができました。DAVINCIの主任研究員を務めるゴダード宇宙飛行センターのJim Garvin氏は、今回の試験が大成功だったと述べています。

地球と金星の違いをより深く理解するために

DAVINCIミッションのプローブは金星の南半球にある高地「アルファレジオ」に向けて降下しながら大気の化学組成を測定すると同時に、地表の画像を取得する計画です。アルファレジオは水の作用で形成された古代の大陸かもしれないと考えられており、プローブは分厚い雲の下でその表面の様子を初めて撮影することになります。

今回成功裏に終了したプローブの耐熱試験は、サイズがよく似ていることから「双子」とも表現される地球と金星がどうしてこれほど異なる姿になったのか、その謎の解明に一歩迫るものとなりました。NASAの新たな金星探査ミッションがもたらす成果が今から期待されます。

NASAの金星探査機「マリナー10号」が撮影した金星(Credit: Credits: NASA/JPL-Caltech)
【▲ NASAの金星探査機「マリナー10号」が撮影した金星(Credits: NASA/JPL-Caltech)】

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典