
(引用元:ESO)
こちらは、「うみへび座」の方向約3500光年先にある惑星状星雲「ESO 378-1」です。チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)の超大型望遠鏡「VLT」で撮影され、2015年8月5日に公開されました。無数の星を背景に、青白い光が泡のように広がり、その縁の一部には赤い弧が見えます。

ESO 378-1は、北天の「ふくろう星雲(M97/NGC 3587)」に姿が似ていることから、「南のふくろう星雲(Southern Owl Nebula)」とも呼ばれています。ガスの広がりは直径約4光年。画像に写る柔らかな光は、一生の終わりに近づいた星が放出したガスの輝きです。
年老いた星が残す、はかない輝き
この淡い泡は、もともと星の一部だったガスが広がったものです。太陽と同程度の質量を持つ星は、進化の終盤に大きく膨らんで「赤色巨星」となり、やがて外側のガスを宇宙空間へ放出します。
外側を覆っていたガスが失われると、星の高温の中心部が露出します。そこから届く強い紫外線のエネルギーを受けて、周囲へ広がったガスが光を放ちます。こうして輝くガスが「惑星状星雲」です。「惑星」という名前がついているのは、かつて天文学者たちが望遠鏡で観察したとき、その丸い姿が惑星に似て見えたためです。
中心の星を囲むガスが、惑星状星雲として輝く期間は数万年ほどです。人間にとっては長い年月でも、数十億年にも及ぶ星の一生のなかで、この姿をとどめるのは、ほんの短いひとときにすぎません。
やがてガスはさらに広がって薄くなり、中心の星も暗くなるにつれて、星雲の輝きは失われていきます。星の中心部は、小さく高密度な「白色矮星」として残り、蓄えていた熱を放ちながら冷えていきます。遠い将来には、ほとんど光を放たない「黒色矮星(black dwarf)」になると考えられています。ただし、そこまで冷えるには現在の宇宙の年齢を超える時間が必要なため、黒色矮星はまだ存在しないと考えられています。
一方、放出されたガスには、星の内部で作られた炭素や窒素なども含まれています。これらは周囲のガスや塵と混ざり、次の世代の星や惑星をつくる材料になっていきます。
私たちを照らす太陽も、いつか外側のガスを放出し、白色矮星となって、ゆっくりと輝きを失っていきます。それでも、宇宙へ送り出された物質は、新たな星や惑星の誕生につながっていきます。この淡い泡は、一つの星の晩年と、その先へ受け継がれていくものを見せてくれています。
編集/sorae編集部
関連記事
- メデューサを思わせる姿 超大型望遠鏡VLTが観測した惑星状星雲「Sh 2-274」
- 恒星の生涯最後に咲いた花 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「NGC 3918」
- 輝く瞳のようなオリオン座の惑星状星雲 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した「NGC 2022」
参考文献・出典
- ESO - The Ghost of a Dying Star
- ESO - The planetary nebula ESO 378-1
- NASA - Decoding Nebulae
- NASA - Hubble’s Nebulae
- Chandra — Q&A: Miscellaneous X-ray Sources
























