
10月、秋のお彼岸を過ぎて日が短くなり、涼風が虫の声を運ぶ時季となりました。澄み切った空を見上げると、秋の星座が大きく広がっています。
秋の空でまず見つけたいのは「秋の四辺形」です。4つの星からなるやや歪んだ台形で、今の時期は南の空高いところに見ることができます。秋の四辺形は、ペガスス座の天馬の胴体にあたります。四辺形から西側に首や頭、前足の星を丁寧に結ぶと、逆さになった馬の上半身が浮かび上がります。

ペガスス(Pegasus)はギリシャ神話に登場する純白の天馬です。日本では英語読みの「ペガサス」が一般的な呼び名です。ペガスス座は秋の星座の王者として、秋の盛りに空高いところへ舞い上がります。
秋の四辺形の北東側の星は「馬のへそ」を意味するアルフェラッツという名を持つ2等星です。しかし、その名に反して、現在は「アンドロメダ座」の頭の星とされています。アルフェラッツから北東側へ、Aが逆さになったような形に星が並びます。これが、ギリシャ神話に登場するエチオピア王家の王女アンドロメダをかたどった星座です。
かつてアルフェラッツは、アンドロメダ座とペガスス座の両方にまたがる星とされていました。しかし、現在はアンドロメダ座の星となっています。同じように、二つの星座にまたがるとされていた星が秋の空で見られます。
秋の四辺形の西辺の2星を結び、南へ延長すると、南の空低いところにある1等星にたどり着きます。この星の名は「フォーマルハウト」といい、「魚の口」を意味します。フォーマルハウトは名前通り「みなみのうお座」の星ですが、かつては「みずがめ座」にも共有されていたことがありました。
みずがめ座は、みなみのうお座とペガスス座の間に位置する星座です。星座絵では、みずがめ座の持つ水がめからあふれた水を、みなみのうお座が口で受けて飲んでいるような姿で描かれることもあります。
現在使われている星座の起源は、古代メソポタミア地方までさかのぼると考えられています。一方、さまざまな地域の人々も、それぞれの時代に星に名前をつけ、星座を作り、物語を描いてきました。その結果、星座同士が重なったり、国や時代によって異なる星座が描かれたりと、次第に複雑になってしまったのです。
その複雑な状態を整理するため、国際天文学連合(IAU)は1922年に88の星座の名称と略号を決めました。その後、1928年に星座の境界が正式に採択され、1930年には全天の境界が書籍としてまとめられています。これによって、恒星は必ず1つの星座に含まれることになりました。
星や星座について知ると、人類が星空につむいできた歴史も感じ取れます。秋の夜長、早見盤やスマホのアプリを片手に空を眺め、星座の物語や星の名前を追ってみてはいかがでしょうか。
2026年10月4日 土星の衝
2026年には、秋の四辺形の南東側に土星があります。恒星と比べると、土星はまたたきが少なく、落ち着いた光に見えるのが特徴です。
10月4日には、土星は衝を迎えます。衝とは、地球から見て太陽と外惑星(地球より外側を回る惑星)が反対の方向に位置することです。衝のころは、土星が日の入りごろに東の空に昇り、日の出ごろに西の空へ沈みます。ほぼ一晩中見ることができるため、観望の好機といえます。

望遠鏡を向けると、土星の特徴ともいえる美しい環も見られるでしょう。土星の環は、土星の赤道面に沿って広がっています。土星が太陽の周りを約30年かけて公転する間に、地球から見た環の向きが変化するため、環の見かけの傾きも約30年周期で変わります。
2025年には、土星の環を地球からほぼ真横に見る時期を迎え、環が非常に薄く見えました。今年は環が少しずつ開いて見えるようになっています。望遠鏡を持っている方は、環の開き方やその変化にも注目して、土星を観察してみてください。
文・編集/sorae編集部
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