
こちらはESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(Very Large Telescope=超大型望遠鏡)などで観測された若い星「WISPIT 2」周辺の様子です。

わし座の方向約430光年先にあるWISPIT 2は、ガスと塵(ダスト)からなるリング状の原始惑星系円盤に囲まれています。なお、WISPIT 2からの光はコロナグラフで遮られているため、画像ではリングの中心に黒い穴が開いているように見えます。
この画像をよく見ると、中心の星の周囲に広がる円盤の隙間に2つの光点が確認できます。ESOによれば、これらは現在まさに形成の途中にある原始惑星とみられています。
外側の光点は2025年に発見された「WISPIT 2b」で、内側の光点は新たに確認された「WISPIT 2c」です。今回、アイルランド・ゴールウェイ大学のChloe Lawlorさんたち研究チームが、WISPIT 2cの発見を報告しました。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されています。
原始惑星系円盤に潜む2つの巨大ガス惑星
ESOによれば、WISPIT 2cは木星の約8~12倍の質量を持つ巨大ガス惑星と推定されています。主星のWISPIT 2からは約14天文単位(太陽から地球までの距離の約14倍)離れた軌道を公転しています。
昨年発見されたWISPIT 2b(木星質量の約5倍、主星から約57天文単位)と比較すると、WISPIT 2cの主星からの距離は約4分の1で、質量は約2倍です。
原始惑星系円盤では微細な塵粒子が集まって成長し、やがて惑星が形成されると考えられています。WISPIT 2の円盤に見られる隙間は、これら2つの巨大ガス惑星が成長する過程で周囲の物質を吸収し、軌道上のガスや塵を掃き集めた結果として生じたものとみられています。

太陽系の過去の姿を紐解く重要な発見
ESOによると、同じ円盤内で複数の形成中の惑星が直接観測されたのは、ケンタウルス座の方向約370光年先の「PDS 70」という惑星系に次いで観測史上2例目です。Lawlorさんによれば、WISPIT 2は太陽系の過去の姿を知る上で、これまでで最も適した観測対象なのだといいます。
今回の研究では、大気のゆらぎを補正する補償光学に対応したVLTの分光偏光観測装置「SPHERE」による観測に続いて、VLTの大型望遠鏡(口径8.2m)4基と補助望遠鏡(口径1.8m)4基で構成される干渉計「VLTI(Very Large Telescope Interferometer=VLT干渉計)」に観測装置「GRAVITY」を組み合わせた最新のシステム「GRAVITY+」による惑星の確認が行われました。
研究チームによると、GRAVITY+を用いた高精度な分光観測(電磁波の波長ごとの強さの分布であるスペクトルを得るための観測手法)によって、若い巨大惑星の大気に特徴的な一酸化炭素(CO)のスペクトルがはっきりと検出されたことが、WISPIT 2cを惑星として確定させる決定打になったということです。

第3の惑星が存在する可能性も?
また、WISPIT 2を取り巻く円盤のさらに外側領域にも浅くて狭い隙間が存在します。研究チームによれば、ここに土星クラスの質量を持つ第3の惑星が潜んでいる可能性が示唆されるといいます。
惑星系全体がどのように形成されるかを観察できるWISPIT 2星系。今後、ESOが建設を進めている口径39mの次世代望遠鏡「ELT(Extremely Large Telescope)」などによる観測で、この若い惑星系のさらなる全貌が明らかになることが期待されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESO - A Solar System in the making? Two planets spotted forming in disc around young star
- Kenworthy et al. - Direct Spectroscopic Confirmation of the Young Embedded Protoplanet WISPIT 2c (The Astrophysical Journal Letters)























