
NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年7月15日付で、ガンマ線観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト(Neil Gehrels Swift)」の軌道上昇ミッションに関する続報を公開しました。
スウィフトの大気圏再突入を避けるためのミッション
2004年に打ち上げられたスウィフトは強力な爆発現象であるガンマ線バーストなどを観測してきましたが、希薄な大気による抵抗を受けて、高度が徐々に低下し続けています。軌道を変更できるエンジンが搭載されていれば高度を回復できるものの、スウィフトにはそうした推進システムが備わっていないため、やがて大気圏に再突入してしまいます。
近年、この高度低下に太陽活動が拍車をかけました。2024年に太陽活動周期が極大期に達したことで、予想以上に激しい宇宙天気現象が発生。わずかに膨張する地球の大気からスウィフトが受ける空気抵抗も増加して、当初の想定よりも早く高度が低下しはじめたのです。
そこでNASAは2025年9月、アメリカのKatalyst Space Technologies(カタリスト・スペース・テクノロジーズ)社と契約を締結し、同社の無人宇宙機「LINK」を用いたスウィフトの軌道上昇ミッションを決定。それから1年と経たない2026年7月、LINKは無事打ち上げに成功しました。

通信などで問題発生も迅速に対応
NASAによると、軌道投入後のLINKは太陽電池パドルの展開と通信の確立に成功し、発表時点ではスウィフトまでの移動や軌道上昇に使用されるホールスラスターをはじめ、システムの動作確認が進められている段階です。
また、飛行運用の初期段階で通信や姿勢制御に問題がみられたものの、Katalystのチームによる迅速な対応が行われました。原因の特定後にソフトウェアパッチの適用と運用の変更を実施した結果、信頼性の高い通信と安定した姿勢制御を回復したということです。
今後のLINKは数週間の試運転段階を経た後に、スウィフトへのランデブー段階へと移行する予定です。
なお、スウィフトは高度低下の原因となる空気抵抗を減らすために姿勢を変更した状態でLINKの到着を待っており、2026年5月の時点ではリミットとなる高度300kmを同年秋頃までは維持できる見込みとされています。
スウィフトには他の宇宙機がドッキングや把持(キャプチャー)を行うための機構が何も備わっていないため、LINKはロボットアームを使ってスウィフトの主要構造を把持し、ホールスラスターを使って高度を上昇させる予定です。


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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