
アルマ望遠鏡とVLT=超大型望遠鏡による観測を通じて、約110億年前の宇宙で衝突しつつある2つの銀河の激しい相互作用に関する研究成果が発表されました。
クエーサーの強力な放射が隣り合う銀河の星形成活動を弱める?
ESO=ヨーロッパ南天天文台によると、片方の銀河の中心にあるクエーサー(※)から放射された強力な電磁波が、もう片方の銀河に存在するガスと塵(ダスト)の分子雲を破壊する様子が明らかになりました。
ガスや塵は新しい星の材料となりますが、生き残る分子雲は小さく、星形成を支えられなくなる可能性があるとみられています。
ESOが建設を進めているELT=欧州超大型望遠鏡が完成すれば、今回研究された銀河のペアなどの研究が進み、クエーサーの進化や母体の銀河・周辺の銀河に及ぼす影響についての理解がより深まると期待されています。
※…クエーサー:銀河中心部の狭い領域から強い電磁波を放射する活動銀河核(AGN)のなかでも特に明るいタイプのこと。クエーサーを含め、活動銀河核の原動力は超大質量ブラックホールだと考えられています。
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文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESO - 'Cosmic joust': astronomers observe pair of galaxies in deep-space battle
- ALMA - Astronomers Observe Pair of Galaxies in Deep-Space Battle