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古代の風が作り上げた不思議な岩 NASA火星探査車「キュリオシティ」が撮影

こちらは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車「キュリオシティ(Curiosity)」が撮影した火星の光景です。薄い層が幾重にも重なってできている大小の岩が、視野全体に散らばっている様子が捉えられています。

NASAの火星探査車「キュリオシティ(Curiosity)」が2024年12月12日に撮影した火星の光景(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)
【▲ NASAの火星探査車「キュリオシティ(Curiosity)」が2024年12月12日に撮影した火星の光景(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】

2012年8月に火星のゲール・クレーターへ着陸したキュリオシティは現在、クレーター内のアイオリス山(シャープ山)を上りながら探査活動を行っています。

これらの岩は「Jawbone Canyon(ジョーボーン・キャニオン)」という愛称で呼ばれる場所で見つかったもので、画像は火星での探査開始から4391ソル(※)となる2024年12月12日に、キュリオシティの「Mastcam」で撮影した複数の画像を組み合わせて作成されています。

均一の厚さで砂を積み重ねたように見えるこの不思議な岩は、いったいどうやって形成されたのでしょうか。

※…1ソル(Sol)=火星での1太陽日、約24時間40分。

数十億年前の強風が形作った堆積層

インペリアル・カレッジ・ロンドンのSteven G. Banham氏を筆頭とする研究チームによると、キュリオシティが撮影したこれらの岩は、古代の火星で吹き荒れていた風によって形成されたのだといいます。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「Geology」に掲載され、冒頭の画像は2026年7月1日付の同誌の表紙を飾りました。

砂漠などで吹く風は、砂地の表面にリップル(砂漣)と呼ばれるさざ波のような模様を作ります。通常は風によって風上側が削られ、風下側に砂が移っていくことで、リップル全体が風下へと移動していくように見えます。

研究チームによると、今から数十億年前の火星では非常に強い風によって大量の砂が運ばれることで、砂丘や窪地の縁といった地形で気流が剥離し、空中に巻き上げられていた砂が急速に降り注ぐことがありました。その結果、風上側が削られるよりも早く、リップルが次々に斜め上方向へと積み重なっていくことになったのだといいます。

このように、水平方向への移動だけでなく上方向にも砂が積み重なって形成されるリップルは、クライミングリップルと呼ばれています。画像の岩は、特に急速な積み重なり方(10度~18度という急角度)によって形成されたとみられています。

古代の壮大な現象を物語る

これまで火星で見つかってきた地質記録は、季節単位や年単位といった、長期的な風の様子を示すものがほとんどだったといいます。キュリオシティによるこれらの岩の発見には、古代の火星で起きたごく短時間の気象現象を物理的な証拠として示している点で、大きな意義があります。

研究チームによると、今回発見された岩のひとつを構成する堆積層は、厚さ数cmの各層がわずか数分間に吹いた強い突風の間に形成されたものだといいます。それがいくつも重なり合っているということは、風の強弱を繰り返しながら数時間以上も続く、激しい砂嵐のように持続的な気象現象が起きたことを示しています。

かつては海を形成するほどの水が表面にあったとされる火星の環境が、現在のように寒く乾燥した状態へと移行していく中で、大気と地表がどのように影響し合っていたのか。何十億年も前に吹き荒れた砂嵐を今に伝えるこれらの岩は、古代の火星における大気の状態を知る上で貴重な手がかりになりそうです。

 

NASAの火星探査車「キュリオシティ(Curiosity)」が撮影したセルフィー(2021年3月30日公開)(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)
【▲ NASAの火星探査車「キュリオシティ(Curiosity)」が撮影したセルフィー(2021年3月30日公開)(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典