
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「NGC 2403」。きりん座の方向、地球から約1000万光年先にあります。

青色に輝く若い星々の集まりや、星形成領域の場所を示すピンク色の電離水素領域(HII領域)が散りばめられた、NGC 2403の美しく壮大な姿が捉えられています。
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」で2004年8月17日に取得したデータを使って作成されています。青色は高温の若い星、赤色は銀河中心付近の古い星や高密度に集まった塵(ダスト)の帯を示しています。
明るく輝いた超新星「SN 2004dj」
注目したいのは、画像の右上隅で明るく輝くひとつの光点です。針のような回折スパイク(※)をともなう天体は天の川銀河の星であることが多いのですが、この光点はずっと遠く、NGC 2403と同じだけ離れているのです。
※…回折スパイクは、望遠鏡の構造で光が回折することで生じる。ハッブル宇宙望遠鏡の場合、副鏡を支える梁によって十字になる。
この光点は、超新星「SN 2004dj」です。NASA(アメリカ航空宇宙局)によると、SN 2004djは太陽の2億倍に相当する強烈な光を放っていました。あまりにも明るく、左側に写っているような天の川銀河の星々のひとつに見間違えてしまいそうなほどです。
SN 2004djは、日本のアマチュア天文家・板垣公一さんが2004年7月31日に発見しました。NASAによれば、NGC 2403の小さな星団「Sandage 96」で発生したSN 2004djは、発見当時の時点で、過去10年以上の間では最も地球に近い距離で発生した超新星爆発でした。太陽の約15倍重い大質量星が、1400万年程度と推定される寿命の最後に起こした超新星爆発(II-P型)だったと考えられています。
ハッブルが捉えた星のライフサイクルの一場面
超新星爆発は“恒星の死”と言える現象ですが、爆発前に星の内部で生成された酸素、カルシウム、鉄といった重元素(水素やヘリウムよりも重い元素の総称)が宇宙空間に放出されることで、次の世代の恒星や惑星、そして私たち生命を形作る材料になっていくと考えられています。
誕生と死を繰り返す星のライフサイクル、ハッブル宇宙望遠鏡はその一場面を見事に捉えたのです。
また、SN 2004djの発見から数年が経ち、超新星の光が薄れた後の星団を観測した研究を通じて、この星団を構成する星々についての理解が深められています。ひとつの星が迎えた劇的な最期は、宇宙の物質循環を解き明かす上での重要な手がかりとして、今も有益なデータをもたらしています。
冒頭の画像はNASAなどから2004年9月2日付で公開されたもので、NASAのハッブル宇宙望遠鏡公式Xアカウントが2026年7月15日に改めて紹介しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
関連記事
- 活発な星形成活動を示す赤い輝きに彩られた“きりん座”の渦巻銀河
- 1億3700万年かけて届いた超新星の輝き ハッブル宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「NGC 3285B」
- ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 2021年と2023年に超新星が見つかった渦巻銀河「NGC 4414」
























