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複数のX線観測衛星が捉えた超新星残骸「RCW 86」 記録に残る最古の超新星が残した姿

こちらは、NASA(アメリカ航空宇宙局)のX線偏光観測衛星「IXPE」など複数の望遠鏡で観測した超新星残骸「RCW 86」。コンパス座の方向、約8000光年先にあります。

NASAのX線偏光観測衛星「IXPE」などが観測した超新星残骸「RCW 86」(Credit: X-ray: Chandra: NASA/CXC/SAO, XMM: ESA/XMM-NEWTON, IXPE:NASA/MSFC; Optical: NSF/NOIRLab; Image Processing: NASA/CXC/SAO/J. Schmidt)
【▲ NASAのX線偏光観測衛星「IXPE」などが観測した超新星残骸「RCW 86」(Credit: X-ray: Chandra: NASA/CXC/SAO, XMM: ESA/XMM-NEWTON, IXPE:NASA/MSFC; Optical: NSF/NOIRLab; Image Processing: NASA/CXC/SAO/J. Schmidt)】

最古の記録に残る超新星

超新星残骸は、太陽の8倍以上の質量を持つ大質量星が超新星爆発を起こした後に観測される天体です。爆発した星の周囲に広がるガスを衝撃波が加熱することで、可視光線、電波、X線といった電磁波が放射されていると考えられています。

RCW 86がある領域では、西暦185年に「客星」(突然夜空に現れた星)が出現したことが中国の歴史書「後漢書」に記されています。約8か月間にわたって輝き続けたというこの客星は、人類の歴史上、確かな記録に残る最古の超新星である可能性が高いとされています。

多波長で捉えた残骸の姿

壊れたリングのような、いびつな形が印象的なRCW 86を捉えた冒頭の画像は、複数の望遠鏡のデータを組み合わせることで作成されました。

青色と黄色で示されているのは、NASAのX線宇宙望遠鏡「Chandra(チャンドラ)」と、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のX線宇宙望遠鏡「XMM-Newton(ニュートン)」が捉えたX線のデータです。青色は高エネルギーのX線、黄色は低エネルギーのX線を表していて、爆発に伴う衝撃波が通過したことで数百万度にまで加熱された星間ガスを示しています。

背景に広がる無数の星々は、NOIRLab(アメリカ国立光学・赤外天文学研究所)による可視光線のデータ。そして、画像右下の黒い円で囲まれた部分にある明るい紫色で示されているのが、IXPEによって今回新たに観測されたX線のデータです。

急速な膨張と反射衝撃波

RCW 86は、爆発後の経過時間(約1800年)に基づいた予測と比べて、より速く、そして大きく膨張していることが分かっています。

過去にChandraを用いて実施された調査によれば、爆発する前の星の周囲には、ガスや塵(ダスト)が少ない低密度の領域が空洞のように広がっていたと考えられています。爆発で吹き飛ばされた物質がこの空洞の中を抵抗なく進んだため、短期間で急速に広がり、現在のような特徴的な形状になったのではないかというわけです。

今回、IXPEは超新星残骸の一部(画像の右下部分)に焦点を当てて観測を行いました。NASAによれば、画像の紫色で示された領域は、高速で拡大してきた物質が空洞の縁に到達して膨張が止まり、反射衝撃波が生じている場所だと推測されています。

様々な波長や観測手法を組み合わせることで、2000年近く前に夜空を彩った爆発の全貌が、少しずつ解き明かされようとしています。

冒頭の画像はNASAから2026年3月24日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典