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ハッブルとユークリッドが観測した「キャッツアイ星雲」のクローズアップ&ワイドビュー

こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した惑星状星雲「NGC 6543」、別名「キャッツアイ星雲(Cat's Eye Nebula)」。

りゅう座の方向、約4400光年先にあります。

HST(ハッブル宇宙望遠鏡)が観測した惑星状星雲「キャッツアイ星雲」のクローズアップ(Credit: ESA/Hubble & NASA, Z. Tsvetanov)
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「キャッツアイ星雲」のクローズアップ(Credit: ESA/Hubble & NASA, Z. Tsvetanov)】

惑星状星雲は、超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星(質量は太陽の約8倍以下)が、恒星進化の最終段階で周囲に形成する天体です。

太陽のような恒星は、晩年を迎えると主系列星から赤色巨星に進化し、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)を放出するようになります。やがて、ガスを失った星が赤色巨星から白色矮星へと移り変わる段階(中心星)になると、放出されたガスが星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになるのです。

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、キャッツアイ星雲は1864年にガスの発する光のスペクトル(電磁波の波長ごとの強さの分布)が初めて分析されたことで、惑星状星雲が恒星の集まりではなくガス状の天体であると証明された歴史的な天体でもあります。

また、当時の地上からの観測では単純な円形に見えていたこの星雲ですが、1995年のハッブル宇宙望遠鏡による観測によって複雑な構造が明らかになり、惑星状星雲の形成についての理解が大きく前進しました。

冒頭の画像は、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」の高分解能チャンネルで取得したデータを使って作成されました。ESAによると、ACSが捉えたのは星雲の中心にある死にゆく星が過去に間欠的な物質の放出を起こした痕跡であり、星の終焉の過程を記録した“化石”のようなものだと考えられています。

なお、今回作成された画像は2004年に公開された観測データと未公開のデータを最新の画像処理技術で組み合わせたもので、同星雲の中心部をこれまでで最も鮮明に描き出しています。

広大な宇宙に浮かぶ星の終焉の記録

また、キャッツアイ星雲の全体像と周辺環境をより広い視野で捉えることができるユークリッド宇宙望遠鏡(Euclid)の観測データも使って作成された画像が、今回新たに公開されました。

HST(ハッブル宇宙望遠鏡)とEuclid(ユークリッド宇宙望遠鏡)が観測した惑星状星雲「キャッツアイ星雲」の広視野画像(Credit: ESA/Hubble & NASA, ESA Euclid/Euclid Consortium/NASA/Q1-2025, J.-C. Cuillandre & E. Bertin (CEA Paris-Saclay), Z. Tsvetanov)
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡とユークリッド宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「キャッツアイ星雲」の広視野画像(Credit: ESA/Hubble & NASA, ESA Euclid/Euclid Consortium/NASA/Q1-2025, J.-C. Cuillandre & E. Bertin (CEA Paris-Saclay), Z. Tsvetanov)】

ユークリッド宇宙望遠鏡は主に遠方宇宙をマッピングするために設計された宇宙望遠鏡ですが、その過程でキャッツアイ星雲を観測しました。可視光線と近赤外線で捉えられた広視野の画像では、ハッブル宇宙望遠鏡が詳細に捉えた明るい中心部を大きく囲むように、より古い時期に星から放出されたガスの破片がリング状のハローを形成している様子がわかります。

ハッブル宇宙望遠鏡の“鋭い視力”による中心部の詳細なクローズアップと、ユークリッド宇宙望遠鏡の“広い視野”による周辺環境の観測。これら2つのミッションのデータを組み合わせることで、最期を迎えつつある恒星が経験する複雑なプロセスと、その背景に無数の遠方銀河が散りばめられた広大な宇宙の風景を同時に垣間見ることができます。

手前にある星雲の複雑な造形美と、はるか遠方の銀河が1枚の画像に同居している点は、現代の天文学ならではの醍醐味と言えるでしょう。

冒頭の画像はESA/Hubbleから2026年3月3日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典