
(引用元:ESA/Hubble)
今回紹介するのは、ESA/Hubbleが2020年5月25日に「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開した、おおぐま座の方向・約1億6100万光年先に位置する棒渦巻銀河「NGC 3895」です。

NGC 3895は、中心部を貫く棒状構造と、そこから滑らかに伸びる渦巻腕(渦状腕)が特徴的です。画像の公開時、ESA/Hubbleはこの銀河の姿を「星空に魅せられたバリスタが描いたコーヒーの模様のよう」だと表現しています。確かに、渦巻腕と滑らかな明暗の変化が織りなす様子は、まるでクリーミーなラテアートを思わせます。
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得された可視光と近赤外線のデータを組み合わせることで、銀河の美しい構造を鮮やかに浮かび上がらせています。
近くに潜む活発な銀河
滑らかな渦巻腕が印象的なNGC 3895ですが、その近くには、より大きな楕円銀河「NGC 3894」が存在しています。NGC 3894はNGC 3895の南西側に位置しているため、この画像には写っていません。
そのNGC 3894の中心には、周囲の物質を取り込みながら電波やガンマ線を強く放射する活動銀河核(AGN)が存在します。この活動銀河核の電波源は「コンパクト対称天体(CSO)」に分類されており、比較的若い電波銀河の一つとみなされています。実際、電波ジェットの広がる速さから見積もられる年齢は約59年とされており、現在観測されている活動がごく最近始まった可能性を示しています。
では、なぜNGC 3894の活動銀河核はこれほど活発になったのでしょうか。
有力な仮説の一つが、NGC 3895との重力による相互作用です。銀河同士が接近すると、互いの重力によって内部のガスの流れが乱されることがあります。その結果、本来であれば中心部まで届きにくいガスが超大質量ブラックホールの周囲へと運ばれ、活動銀河核の活動を引き起こす場合があります。
つまり、見た目にはNGC 3895の渦巻腕が大きく乱れていないように見えても、両銀河の重力的な関係によってNGC 3894の中心部へ物質が運ばれ、活動銀河核の活動が高まった可能性があるのです。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESA/Hubble - One Large Stellar Latte To Go (potw2021a)
- Principe, G. et al. (2020) "NGC 3894: a young radio galaxy seen by Fermi-LAT", Astronomy & Astrophysics
- Comerford, J. M., Barrows, R. S. et al. (2015) "Merger-driven Fueling of Active Galactic Nuclei", The Astrophysical Journal










