こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した銀河「IC 486」。ふたご座とかに座の境界付近、約3億8000万光年先にあります。

IC 486は、中心部に明るい棒状の構造を持つ棒渦巻銀河に分類されています。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、IC 486の場合は棒状構造から展開した渦巻腕(渦状腕)が、まるで環のように滑らかなパターンを描きながら、銀河の中心部を包み込んでいるのが特徴的です。
明るい中心部には古い星々が密集している一方で、渦巻腕がある銀河円盤に点在する淡い青色の領域は、最近になって星が形成された若い星団の存在を示しています。また、銀河の構造を縫うように走る暗い塵(ダスト)の帯は、背後からの光をさえぎるとともに、新たな星が誕生する可能性を秘めた分子ガスが豊富に集まる場所を描き出しています。
光り輝く活動銀河核
IC 486の輝く中心部には、強い電磁波が観測される銀河中心部の狭い領域である「活動銀河核(AGN)」があります。活動銀河核の原動力は太陽の数百万倍~数十億倍の質量がある超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)だと考えられていて、IC 486の場合は太陽の1億倍以上の質量を持つとみられています。
ブラックホールそのものを電磁波で直接観測することはできませんが、一部の非常に活発なブラックホールは周囲から膨大な量のガスや塵を強い重力で引き寄せて、渦巻く降着円盤を形成します。この円盤内の物質が高速で回転しながらブラックホールへと落ち込んでいく過程で強烈な摩擦熱が生じて高温になり、X線を含む強力な電磁波が放射されることで、銀河全体を上回るほどの明るさで輝くことがあるのです。
銀河成長の謎に迫る観測
宇宙の暗闇に浮かぶ美しいIC 486の画像は、ハッブル宇宙望遠鏡を用いた2つの観測プログラムで取得した「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」のデータを組み合わせて作成されました。どちらの観測プログラムも、銀河の棒状構造や渦巻腕といった巨大なスケールの構造と中心核の活動がどのように関連し、銀河全体が成長していくのかを解き明かすことを目的に実施されたものです。
また、このデータは銀河の分類を目的とした市民科学プロジェクト「Galaxy Zoo」や、AI(大規模言語モデルなど)による天体分類のテストにも活用されており、将来の大規模な宇宙探査に向けた足がかりになるということです。
冒頭の画像はESA/Hubbleから2026年3月27日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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