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300万光年先の銀河に抱かれた“星のゆりかご” VLTが捉えた「さんかく座銀河」のクローズアップ

こちらは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(Very Large Telescope=超大型望遠鏡)で観測した「さんかく座銀河」(M33、Messier 33)の一部。約300万光年先にあるさんかく座銀河、その渦巻腕(渦状腕)がある銀河円盤をクローズアップしたものになります。

ESOのVLT(超大型望遠鏡)で観測した「さんかく座銀河」のクローズアップ(Credit: ESO/A. Feltre, F. Belfiore, G. Cresci et al.)
【▲ ESOのVLT(超大型望遠鏡)で観測した「さんかく座銀河」のクローズアップ(Credit: ESO/A. Feltre, F. Belfiore, G. Cresci et al.)】

“星のゆりかご” HII領域

ESOによると、さんかく座銀河の円盤部には星々の誕生の場である「HII(エイチツー)領域」が広範囲にわたって存在しています。

電離水素領域とも呼ばれるHII領域は、生まれたばかりの若い大質量星の放射する紫外線によって電離した水素ガスが放つ赤色の光が観測される領域で、輝線星雲の一種です。ガスと塵(ダスト)が集まった雲から新たな星が生み出されていることから、星形成領域とも呼ばれます。

INAF(イタリア国立天体物理学研究所)のAnna Feltreさんたちによる最新の研究では、さんかく座銀河の渦巻腕に沿って131個のHII領域を特定し、詳細なカタログを作成しました。従来の調査では見逃されていたような極めて暗いHII領域まで鮮明に捉えることに成功しており、星がどのようにして形成され、周囲の環境を劇的に変えていくのかを探るための重要な鍵となっています。

3つの色が示す元素の分布

冒頭の画像の幻想的な色彩は、単に視覚的な美しさを求めただけではなく、そこに存在する元素の分布を正確に反映するため擬似的に着色されています。画像の青色は酸素、緑色は水素、赤色は硫黄の存在を示しており、それぞれの元素が複雑に絡み合っている様子がわかります。

これほど詳細な観測を可能にしたのが、VLTの観測装置のひとつである広視野面分光装置「MUSE」です。MUSEは視野内のあらゆる場所で光のスペクトル(電磁波の波長ごとの強さの分布)を得て分析することが可能で、化学組成だけでなくガスの運動の様子も調べることができます。

研究チームはMUSEの能力を活用して、さんかく座銀河における星間物質の多様な姿を浮き彫りにしました。Feltreさんは、星とガスの相互作用は、私たちが想像していたよりもはるかに複雑でダイナミックな風景を作り出していると述べています。

銀河の進化を解き明かすための“宇宙の実験室”

ESOによれば、星形成活動が非常に盛んなさんかく座銀河は「宇宙の実験室」とも呼ばれています。Feltreさんたちの研究成果は、個々の星の誕生が銀河という巨大なシステム全体の進化をどのように形作っていくのかを解き明かすための歩みのひとつと言えます。

星々は孤立して存在するのではなく、自らを生み出した豊かな環境との相互作用を通じて、銀河の歴史を刻み続けているのです。

冒頭の画像は、ESOから2026年3月23日付で公開されています。

関連画像・映像

参考画像:ESOのVST(VLTサーベイ望遠鏡)で観測した「さんかく座銀河」(Credit: ESO)
【▲ 参考画像:ESOのVST(VLTサーベイ望遠鏡)で観測した「さんかく座銀河」(Credit: ESO)】

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典